バカラ必勝コラム 「ひよったら負けだ!!」
1994年の倍々賭け
1994年、春。ラスベガス バーバリーコーストホテル(現BILL’S)での出来事だ。
5連続つづけて負けた私は、320ドルのチップをバンカーサイドに押し出した。10ドルから始めて、負けたら20ドル、また負けたら40ドル……というように倍々に賭けていく方法(いわゆるマーチンゲール法)で、一昨日、昨日と快勝し、一緒に来ていた彼女にもヴィトンのバックをプレゼントした。
しかしどうも今日は調子がおかしい。5連敗の後のベット額は320ドル。ミニバカラ卓ではあまり賭けない金額だ。
「ノーモアベット」女性ディーラーがゲームを開始した。
「プレイヤー8、バンカー5、プレイヤーウィン!」私のチップはすべて回収された。
「もう止めたら・・・?」と隣で彼女が言う。
「いや、次はきっとバンカーだ」
私は、更に倍額の640ドルを汗ばんだ手でバンカーに押し出す。これで負けたらもうあと一回分しか勝負できない。
しかし、ここでまた私はしくじった。プレイヤーの7に対してバンカー6。チップが回収され、私は最後の1280ドルを握り締めた。彼女はあきれて席を立った。それでも私は残りの全てのチップをバンカーに置いた。汗が噴出し、ドーパミンだかアドレナリンだか分からないが脳汁が身体を駆け巡る。これに勝てば全ての資金と勝ち分が戻ってくる。負ければ全てなくなる。8連続負ける……あり得ない。計算上では1/256の確立だ。
女性ディーラーが「いいのか?」というように聞いてくる。
「ゴー・ア・ヘッド!」と叫ぶ私。ゲームが開始された。
プレイヤーの2枚は絵札と7の合計「7」。強い。バンカーは絵札2枚で合計「0」。目の前が真っ暗になる。バンカーの最後のカードがゆっくりと開かれる……。
最後のカードは「9」。
「バンカーウィン!!」
私は立ち上がって拳を突き上げた。まだ、バカラを覚えて2回目の、初めてのラスベガスでの話だ。7連敗の後の8回目もまた負ける確立は1/256ではなく、やはり1/2だとは知りもしない頃だった。
ゲーム開始の準備
ゲームに参加するプレイヤーがテーブルについたら、ディーラーはディーラーボタンの位置決めをする。一般的には各プレイヤーに一枚カードを表にして配り、最も強いカードを配られたプレイヤーにディーラーボタンをおく。同じランクのカードが配られた場合は、スペード(S)・ハート(H)・ダイヤ(D)・クラブ(C)の順である。アルファベットの遅い順と記憶してほしい。このディーラーボタンは、このゲームをプレイするにあたり、重要な要素になる。詳しくは後述するが、このボタンのプレイヤーが最後にアクションするため、他のプレイヤーのアクションを見てから自分のアクションを決めれることになり、有利だからである。
ディーラーボタンがきまったら、ディーラーボタンの左隣のプレイヤーをスモールブラインド(SB)、その左隣のプレイヤーをビックブラインド(BB)といい、それぞれ決められた額のチップを強制ベットする。ベット額は、一般的にBBはそのゲームの最低ベット額、SBは最低ベット額の半分が目安になる。
プリフロップ
まず、ディーラーは各プレイヤーに2枚づつ伏せてくばる。この2枚のカードは各プレイヤーの基本となるカードである。配り終えたら、BBの左隣からアクションする。
各プレイヤーが選択できるアクションは次のとおりである。
コール | BBが強制ベットした額のチップをだし、そのゲームに参加する。 |
レイズ | BBが強制ベットした倍額以上(ルールによってことなる-後述)をして、 そのゲームの最低ベット額をあげる。 |
フォールド | 配られたカードを伏せたままディーラーに返し、そのゲームに参加しない。 |
一人のプレイヤーのアクションが終わったら、左隣のプレイヤーが順にアクションを選択する。前のプレイヤーがレイズした場合は、後ろのプレイヤーはリレイズすることができる。その場合、いくらまでレイズできるかは、そのゲームのルールによって異なる。
各プレイヤーのベット額がそろうまで繰り返す。リミットゲームの場合はレイズができる回数がきめられている。
ゲームに参加するプレイヤーがテーブルについたら、ディーラーはディーラーボタンの位置決めをする。一般的には各プレイヤーに一枚カードを表にして配り、最も強いカードを配られたプレイヤーにディーラーボタンをおく。同じランクのカードが配られた場合は、スペード(S)・ハート(H)・ダイヤ(D)・クラブ(C)の順である。アルファベットの遅い順と記憶してほしい。このディーラーボタンは、このゲームをプレイするにあたり、重要な要素になる。詳しくは後述するが、このボタンのプレイヤーが最後にアクションするため、他のプレイヤーのアクションを見てから自分のアクションを決めれることになり、有利だからである。
ディーラーボタンがきまったら、ディーラーボタンの左隣のプレイヤーをスモールブラインド(SB)、その左隣のプレイヤーをビックブラインド(BB)といい、それぞれ決められた額のチップを強制ベットする。ベット額は、一般的にBBはそのゲームの最低ベット額、SBは最低ベット額の半分が目安になる。
4年毎に開催されるワールドカップやオリンピックを除いて、毎年開催されるイベントで世界最大のものは何であろうか。ゴルフのマスターズ、テニスのウィンブルドン、NFLのスーパーボウル???
驚くかもしれないが、今年の7/28から開催されるポーカーのワールドシリーズ(WSOP)のメインイベントである。サテライト(予選)を含めた参加者 の数(のべ数十万人)、賞金総額(約80億円)、優勝賞金(10億円以上)という数字をみれば、納得されるだろう。観客の数は他のイベントに負けるのであ ろうが。
そして、何よりもこのイベントの偉大なところは、自分の支払い能力に応じた参加費さえ支払えば、誰でも参加できることである。本戦の参加費は10000 ドルであるが、予選は$10以下で参加できるものもあり、スポンサーの提供で参加費無料というものもある。そして、優勝のチャンスは誰にでもある。この 点、参加資格が限定されたウィンブルドンやマスターズとは異なる。また、ポーカーのルールは簡単で、ほとんどの日本人は、ポーカーの手役は覚えている。そ して、囲碁や将棋のように技量の高いものが絶対に勝つというゲームではない。
そこで、本稿ではポーカーの初心者やこれからポーカーを始めてみようという方のために、基本的な戦い方やルールなどを説明していきたいと思う。また、その時々のポーカーに関するニュースなども伝えていきたい。
日本でポーカーというと、いわゆるドローポーカーを思い出す人が多いと思う。ちょっとポーカーを知っている人でもセブンスタッドポーカーが多いのではな いか。ドローポーカーとは、最初に各プレイヤーに五枚のカードを伏せて配り、プレイヤーが選んだ枚数を交換させて出来上がった手役の強弱を競うものであ る。しかしながら、現在世界でプレイされているポーカーは、ホールデムという種目であり、WSOPメインイベントもこのゲームでおこなわれている。本稿で もこのホールデムというゲームをメインに扱っていくことになる。
また、ポーカーの手役の強弱は知っているものとして扱うので、ご了承いただきたい。
■「ポーカー侍」のポーカーを楽しもう
番外編 ミスプレイと番外編
第十四之巻 私のポーカー戦略 - ベッティング(2)
第十三之巻 私のポーカー戦略 - ベッティング(1)
番外編 日本にもポーカーブームの兆候が
番外編 トーナメントのルールとマナー
第十二之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(5)
第十一之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(4)
第十之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(3)
第九之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(2)
第八之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(1)
第七之巻 私のポーカー戦略-はじめに
第六之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (3)
第五之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (2)
番外編 13億円の夢破れる-WSOP メインイベント-
第四之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (1)
第三之巻 トーナメントとライブゲーム
第二之巻 ホールデムポーカーのベッティングルール
第一之巻 ホールデムポーカーのやり方
リミットホールデム
リミットゲームとは、最低ベット額と最大ベット額が決められているゲームであり、一般的にベット額はビックブラインド(BB)のベット額の倍数である。
例えば、BBのブラインド額が$10の場合には、レイズ額は$10(合計$20)であり、さらにレイズする場合は合計$30($10X2+$10)となる。
各ラウンドでレイズができる回数はポーカールーム毎に定められており、通常は3-4回である。
ポーカールームでライブゲームをするときには、$10-$20 Limit HLDMのように表示されている。この意味は、ベット額がプリフロップ・フロップの段階では$10で、ターン・リバーの段階で$20という意味である。レイズのできる回数は、各ポーカールームによって異なるので、テーブルについたらディーラーに確認しよう。
リミットゲームは、ベット額が定められているので、リミットが低額のテーブルでは、フロップに参加する人数が多くなるのが一般的である。
バカラの魅力
14年前にゴールドコーストに行った際に初めて行ったカジノで私はこのバカラというゲームを知った。サラリーマンの月給からは考えられない額の勝利を収めたことに味を占め、ラスベガス、ナイアガラ、マカオ、韓国、テニアンと次々にバカラ旅行を繰り返した。世界中のどこのカジノに行っても必ず置いてあり、特にハイローラーと呼ばれる人たちに最も好まれるゲームがバカラだ。私は負けてばかりだったが、何故こんなにバカラにはまったのか。その魅力は言葉では表現しづらい。
1995年、東京の狛江市の市長、石井三雄氏がバカラ賭博で数十億の借金を作って失踪。ニュースステーションで報道されたこのニュースを聞いてゾッとした。多分、同じような気持ちで見ていた人が日本中にいたことだろう。地位も金も余るほどある人間が全てを投げ打って勝負してしまう……そんな恐ろしい一面を併せ持つゲームがバカラだ。たった数枚のトランプのカードのどちらが「9」に近いかに数十万ドルの大金を羅紗上に置く。わずか 1分ほどの勝負だが、その金が倍になって返ってくるか、失ってしまうかの単純な博打である。
世界中のカジノで賭けられる金額が一番大きいのもバカラだ。マカオのカジノではゲームの8割がこのバカラで占められており、そのマカオのカジノ収益は昨年、ラスベガスを越えた。そのくらいバカラというゲームに人々は大事なお金を落としていくのである。世界中のバカラ卓には、今日も人生の逆転を賭けて座っているギャンブラーが大勢いるのだ。
バカラのルールについて
バカラというゲームは、ヨーロッパ発祥とも中国発祥とも言われているが、定かではない。ただし、多少の進行の差こそあれ、ルールは世界中どこも変わらない。8デッキ(6デッキの場合もある)のトランプをシャッフルし、シューボックスにカードを入れ、多少のバーンカード(捨てカード)を消化したらゲームが開始される。客はプレイヤーサイドか、バンカーサイドにチップを置く。その後、2枚ずつカードが配られ、それぞれのサイドのベットオーナー(賭け金額が一番大きい客)がそれを絞る(スクイーズする)。これはペローンとめくってしまっても良いのだが、この「絞り」はベットオーナーだけの特権である。自分の好きな絞り方でゆっくりめくって「楽しむ」のである(註:ミニバカラでは絞りはない)。バカラではカードの数を以下のように数える。
A ・・・1
2~9 ・・・そのままの数
10と絵札 ・・・0
めくった2枚の総和が8もしくは9ならば「ナチュラル」と呼ばれ、相手の数にかかわらずゲームは終了する。9は最強のハンドで、8なら相手が9でない限り負けることはない。6、もしくは7の場合は「スタンド」と呼ばれ、3枚目のカードを引くことはなく(バンカー6の場合は例外もある)相手サイドが3枚目のカードをあけるのを待つことになる。それ以下の数字の場合は基本的には3枚目を引いて、できるだけ9に近くなるよう努力する(祈る)のである。
プレイヤーサイドが勝った場合には賭け額が倍になって戻ってくる。バンカーサイドが勝った場合には5%のハウスコミッションを引かれて配当が付けられる。この5%がこのゲームの控除率という仕組みだ。
バカラは同点(タイ)の場合はあるが、その場合はチップを没収されることはない。自分の賭けたチップを手元に戻してもかまわない。
この他に「条件」と呼ばれるルールがあるが、少しややこしいので今回は触れないでおく。この「条件」は初心者は知らなくても問題なくゲームには参加できる。バカラのルールはこれだけである。実際に参加してみればすぐに理解できる。
バカラの面白さはその人間模様でもある。皆、勝ちたい。色んな必勝法を研究する。
罫線を描き、流れを読む。連勝している人には乗る。逆に連敗している人には遠慮なく逆張りを仕掛ける。時には手を取り合って喜ぶが、ディーラーに罵詈雑言を吐く冷え切った雰囲気のテーブルもたまに見かける。人間性が露骨に表れる。肌の色が違ってもそこは皆変わらない。数あるカジノゲームの中でも最もセルフコントロールが求められるゲームだ。良くも悪くも、強烈な体験が出来るゲームである。
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甘い想い出
2002年の春。マニラを出発して3時間。フィリピンの軽井沢と呼ばれるタガイタイのカジノに到着した。私をエスコートしてくれたのはドライバーのロカ。気のいいフィリピーノだ。ここのカジノは天井が高く、マニラ市内のカジノの半分くらいのスペースしかないが、それでも平日から賑わっている。
「シャチョー、バカラのテーブルをミツケタヨ」とロカ。彼は、ドライバーとしてだけでなく、色々と面倒を見てくれて助かっている。座ったバカラテーブルで 10万ペソ(約3万円)を換金。一斉に視線が集まる。それもそうだ、この国ではサラリーマンの平均月収は1万ペソだ。バツの悪い思いはしたが、同じテーブルのフィリピン人は皆、笑顔で迎えてくれた。好意的だ。ジョークを飛ばしながらバンカーに1万ペソを置く。ナチュラルエイトであっさり勝利。次もバンカーに1万ペソを置く。これまたナチュラル! しかもナインだ。これはいいテーブルに座ったゾ……ということでプレイヤーが出るまでバンカーに張り続けることを決意。
「デレデレッチョ~!!(タガログ語で「真っ直ぐ」の意味)」と叫ぶ。私に習って全員がバンカーにチップを置く。このバンカーの勢いが止まらない。11 回連続でバンカー。いわゆる「ツラ」というやつだ。手元のチップがあっという間に倍になった。もう笑いが止まらない。「ロカよ、いいテーブルを見つけてくれてありがとう!」と1万ペソのチップを渡す。「サ、サンキュー シャチョー」彼の手は少し震えていた。無理もない。
僕はカジノでブラックジャック(以下BJ)しかプレイしません。自分のプレイスタイルに一家言を持っているプレイヤーが多いと思いますが、僕も自分の経験則からまとめた自分のストラテジー(GAKUストラテジー)を持っています。BJで唯一の必勝法と言われているカード・カウンティングを一切用いない非科学的なものではありますが、自分にとって唯一無二の拠り所となっています。そしてこの非科学的なアプローチで、生涯成績をプラスにし続けることが BJプレイヤーとしての大きな夢です。
GAKUストラテジー
そんな僕が連載させていただく、この「GAKUのブラックジャックのすすめ」。きっと間違いなく、どこか偏った話になってしまうと思います。でも、少しでも多くのみなさんにBJというゲームを知っていただき、その醍醐味の一部でも伝えることができたとしたら、これほど嬉しいことはありません。
なお、この連載の中で触れるBJのルールは、基本的にオーストラリア、とくにクイーンズランド州(ケアンズ・ゴールドコースト・ブリスベン)に共通するものです。ラスベガスや韓国などの標準的なルールとは異なる点があることを予めご了承ください。
参考:
オーストラリア・カジノのBSチャート
ラスベガス・カジノのBSチャート
BJのルールを覚え、カジノゲームとしての楽しさを知ると、誰しもがいつか必ず突き当たる壁があります。それは、べイシック・ストラテジー(以下BS)です。BSとは、ディーラーのフェイスアップカードとプレイヤーの合計数やカードの組み合わせごとに、理論上最善の選択をまとめたものです。にもかかわらず、BJというゲームでプレイヤーを悩ませる一番の原因が、実はこのBSに起因しているのではないかと思います。
ルールに基づいて数学的にはじき出された最善手であるBS。それ自体は理論上の最善手であって、それ以上でもそれ以下でもないのですが、それをプレイヤーがどう捉えるかによって、BSの存在意義はプレイヤーそれぞれに変わってきます。これは当然のことです。
BSはBJプレイヤーの救世主なのでしょうか?
恐らくBSが広まった当時は、そのように考えられたこともあるのでしょう。何割かのプレイヤーはそれを必勝法と考えたかもしれません。ところが現実には違いました。矛盾しているように感じるかもしれませんが、BSというのは決して必勝法などではなく「必敗法」なのです。なぜなら、理論上のプレイヤーのリスク(控除率・ハウスエッジとも表現されます)を最小限にするというだけで、決してそれが無くなる訳ではないからです。それでも僕は「BS通りにプレイするのは止めましょう」などと話すつもりはありません。BSはあくまでBS。されど、BSなくしてBJを語ることはできないからです。
末永くBJを嗜んでいきたい方には、僕はやっぱりBS通りにプレイすることを勧めます。もちろん僕自身もそうしています。ごく稀にミスすることがあったとしても、僕は自分の意思でBSから外れたプレイは絶対にしません。今までもそうでしたし、これからもずっとそうするつもりです。この連載では、その理由の詳細について触れていくことになりますが、「自分のスタイルを貫き通す」ことが僕のストラテジーの本質となっているからです。
必敗法であるはずのBSがなぜ重要なのか、またBJをプレイする上でにはどんな考え方が必要なのか、今後その部分に触れていきたいと思います。
<<GAKUのブラックジャックのすすめINDEX
ホールデムポーカーもいろいろな種目がある。まず基本となるテキサスホールデムについて説明しよう。ホールデムポーカーは2人から10人程度でプレイする。プリフロップ・フロップ・ターン・リバーの順でゲームが進行する。
テキサスホールデムのベッテイングの方法について説明する。ゲームによって決められたルールがあるので注意してほしい。
ゲーム開始の準備
ゲームに参加するプレイヤーがテーブルについたら、ディーラーはディーラーボタンの位置決めをする。一般的には各プレイヤーに一枚カードを表にして配り、最も強いカードを配られたプレイヤーにディーラーボタンをおく。同じランクのカードが配られた場合は、スペード(S)・ハート(H)・ダイヤ(D)・クラブ(C)の順である。アルファベットの遅い順と記憶してほしい。このディーラーボタンは、このゲームをプレイするにあたり、重要な要素になる。詳しくは後述するが、このボタンのプレイヤーが最後にアクションするため、他のプレイヤーのアクションを見てから自分のアクションを決めれることになり、有利だからである。
ディーラーボタンがきまったら、ディーラーボタンの左隣のプレイヤーをスモールブラインド(SB)、その左隣のプレイヤーをビックブラインド(BB)といい、それぞれ決められた額のチップを強制ベットする。ベット額は、一般的にBBはそのゲームの最低ベット額、SBは最低ベット額の半分が目安になる。
プリフロップ
まず、ディーラーは各プレイヤーに2枚づつ伏せてくばる。この2枚のカードは各プレイヤーの基本となるカードである。配り終えたら、BBの左隣からアクションする。
各プレイヤーが選択できるアクションは次のとおりである。
コール | BBが強制ベットした額のチップをだし、そのゲームに参加する。 |
レイズ | BBが強制ベットした倍額以上(ルールによってことなる-後述)をして、そのゲームの最低ベット額をあげる。 |
フォールド | 配られたカードを伏せたままディーラーに返し、そのゲームに参加しない。 |
一人のプレイヤーのアクションが終わったら、左隣のプレイヤーが順にアクションを選択する。前のプレイヤーがレイズした場合は、後ろのプレイヤーはリレイズすることができる。その場合、いくらまでレイズできるかは、そのゲームのルールによって異なる。
各プレイヤーのベット額がそろうまで繰り返す。リミットゲームの場合はレイズができる回数がきめられている。
フロップ
プレイヤーすべてのアクションが終わり、ベット額がそろったときに、ディーラーはテーブルのセンターに3枚のカードを表にしてくばる。これは、プレイヤー全員共通のカードになる。ゲームに参加しているプレイヤー(アクティブプレイヤーという)は、自分に配られている2枚のカードと3 枚の共通カードを合わせて、その勝負に勝てるかどうかを判断してベットする。アクションはディーラーボタンの左隣からおこなう。
たとえば、配られたカードがAhJs でフロップがJd Ts 3h であるならば、この段階での手役はJのワンペアーとなる。
4年毎に開催されるワールドカップやオリンピックを除いて、毎年開催されるイベントで世界最大のものは何であろうか。ゴルフのマスターズ、テニスのウィンブルドン、NFLのスーパーボウル???
驚くかもしれないが、今年の7/28から開催されるポーカーのワールドシリーズ(WSOP)のメインイベントである。サテライト(予選)を含めた参加者の数(のべ数十万人)、賞金総額(約80億円)、優勝賞金(10億円以上)という数字をみれば、納得されるだろう。観客の数は他のイベントに負けるのであろうが。
そして、何よりもこのイベントの偉大なところは、自分の支払い能力に応じた参加費さえ支払えば、誰でも参加できることである。本戦の参加費は10000 ドルであるが、予選は$10以下で参加できるものもあり、スポンサーの提供で参加費無料というものもある。そして、優勝のチャンスは誰にでもある。この点、参加資格が限定されたウィンブルドンやマスターズとは異なる。また、ポーカーのルールは簡単で、ほとんどの日本人は、ポーカーの手役は覚えている。そして、囲碁や将棋のように技量の高いものが絶対に勝つというゲームではない。
そこで、本稿ではポーカーの初心者やこれからポーカーを始めてみようという方のために、基本的な戦い方やルールなどを説明していきたいと思う。また、その時々のポーカーに関するニュースなども伝えていきたい。
日本でポーカーというと、いわゆるドローポーカーを思い出す人が多いと思う。ちょっとポーカーを知っている人でもセブンスタッドポーカーが多いのではないか。ドローポーカーとは、最初に各プレイヤーに五枚のカードを伏せて配り、プレイヤーが選んだ枚数を交換させて出来上がった手役の強弱を競うものである。しかしながら、現在世界でプレイされているポーカーは、ホールデムという種目であり、WSOPメインイベントもこのゲームでおこなわれている。本稿でもこのホールデムというゲームをメインに扱っていくことになる。
また、ポーカーの手役の強弱は知っているものとして扱うので、ご了承いただきたい。
人間罫線になる
さて、このバンカーのツラが切れてから席を立つべきだったが、気持ちが高揚している。テーブルは盛り上がっている。皆「あのジャパニーズのおかげで勝った」と言ってくれる。中には「ゴットハンド!」とまで言ってくれる。マンゴージュースがどうにもウマイ。てなことで勝負を続けることになったのだが……。
ベット額を落として小さく賭けるが、まったく当たらない。バンカー(B)と思えばプレイヤー(P)。横に走る(BとPが順番に出ること)と思えば下に落ちる。何をやっても当たらない。それでも最初のツラで大きく勝っているのでチップは十分にある。
しかし、頭の中は完全に沸騰していた。
「シャチョー、もう止めましょう・・・・」ロカは心配そうに言う。
「うるさい!これから取り返すのだ!!」
私は、バンカーに2万ペソを叩きつけた。すると、いままで私と同じサイドに張っていたテーブルの人達が皆プレイヤーに張る。プレイヤーの勝ち。今度はプレイヤーかと大きくプレイヤーに3万ペソを置く。一斉にバンカーにチップが積み上げられる。
「バンカーウィン!」
くそう、完全に人間罫線だ……。
あれだけ私を褒めちぎっていた人達が全員、私の逆張りをしてくる。それなら……と私がベットしないで誰かがベットするのを待っていると、誰も賭けようとしない。ゲームが進まないのだ。仕方なくまた勝負する。逆張りされる。しくじる。以下繰り返し。
ついにすべてのチップが羅紗上に溶けた。一度は天国を味わっただけにショックが大きい。「ロカ、ほんとにすまないがさきほどあげたチップを貸してくんないか?」と恥を忍んで頼む。ロカはあさっての方向を見ながら「そいつぁ・・・だめだ」とにべもない。
バカラの罫線
バカラプレイヤーは皆、「罫線」を書く。そのゲームの傾向を知る為だ。必ず赤と青(黒の場合もある)の二色を使って出た目を書いていく。出目は単に○で書く人もいれば数字を書く人もいる。アメリカやオーストラリアなどはプレイヤーが赤でバンカーが青。マカオやフィリピンなどではプレイヤーが青でバンカーが赤。罫線をつけていくと、傾向が見えてくる。バンカーもしくはプレイヤーばかりが連続して勝利する、いわゆる「ツラ」。バンカーとプレイヤーが順番に勝利する「テンコ」バンカー、プレイヤーが2回づつ勝利する「ニコニコ(2個2個)」など。
こういった傾向が顕著であればあるほど、打ち手にとっては「おいしい罫線」となる。しかし、実際には「おいしい罫線」と気づいても、気づいた時にはもう遅く、次の新しい展開になることの方が多い。8デッキの約70回のゲームの中で、全てがバンカーとか、全てがテンコなんてことはありえない。(私は見たことはないし、見たという人にも会ったことがない)
また、罫線に関係なく罫線と呼ばれるものがある。「人間罫線」のことだ。これは、ツいてない人の逆張りをする方法で、熱くなるタイプの人がムキになっている状態で「人間罫線」になることが多い。負けて、しくじって、なんとか這い上がろうとしている人を踏み台に勝とうというのだから、これは強烈だ。完全にテーブルの中では「イジメられっこ」となる。罫線はなかなか思うような絵にならない。しかし、狙い済ました大賭が見事に的中することもある。だからバカラは面白い。
<<バカラ必勝コラム 「ひよったら負けだ!!」INDEX
最初にマカオでの事件を振り返りたい。
2007年8月、私は、友人7名と一緒にマカオのタイパ島に新しくできたカジノに行き、全員一緒にバカラテーブルに座って勝負した。この日、マカオの天気は大荒れ。プレイ中に何度も落雷があり、そのせいでカジノのエアコンが作動せず、全員が真夏のうだるような暑さを我慢しながらプレイしていた。
そんな時、事件は起こった。
我々は全員がプレイヤーサイドに賭けた。賭玉頭である友人の「まるちゃん」が絞りを担当し、ピクチャーとスリーサイドを絞って見事に7を引いて、バンカーの3を駆逐した!
まるちゃんはガッツポーズそして全員でハイタッチ!
しかしどうもディーラーの様子がおかしい……。
ディーラーが配当を付けないのだ!
聞いてみると、ディーラーが間違えて本来バンカーに配るカードをプレイヤーに賭けたまるちゃんに渡したのだそうだ。最近のシュー(カードを入れておくケース)は、シューからカードを出すと同時にカードの種類を判別する機能があり、ゲームごとに勝敗が自動的に分かるのだという。そして、そのシューにはバンカーの勝ちとなっているのだとカジノ側は主張。しかし、その説明を聞いても納得しない7人。
「このカードは、まるちゃんが絞ったから7になったんだ!!」と非科学的に主張。
「カメラチェックでも配ったカードが逆だったと分かったんです」とカジノ側も譲らない。
「し、しかしその間違ったカードはまるちゃんが絞った瞬間7に印刷されたのだ!」と苦しい。
フロアやらピットボスやら、最終的には支配人まで出てくる大騒動となった。そして、この問題は最終的にカジノ側もミスディールを認め、ノーゲームにすることで解決を見たのだが、ゆうに2時間はゲームを中断することになった。
この事件でお伝えしたかったのは、バカラというゲームの種目を語る上で、この絞り(スクイーズ)という作業が非常に大きな魅力の一部となっているということだ。「絞りがカードを変える(印刷する)」という錯覚を与えてしまうほどの魅力があるのだ。そこで今回は絞りに注目して書きたいと思う。
バカラの絞りは基本的に自由だ。縦からでも横からでも斜めからでも、ペロンとめくっても構わない。ただ、多くのプレイヤーを見てきた中で一番多いパターンは、縦に絞って「足」を確認し、横に回してサイドを確認する、というパターンだ。ベテランのプレイヤーになると斜めからの絞りをする人が多く、カードの図柄の特性を見てみるとその理由が分かるが、バカラのカードを表にして見てみると、左上と右下にはマークと数字が書いてあるが、右上と左下には何も書いていない。この何も書いていない方をゆっくり絞っていくのが楽しいのだという。
配られた二枚のカードを順番に絞っていくのだが、その組み合わせによって期待度が変化する。
1.縦に絞って「足」の確認 2.横を絞って「サイド」の確認
第1回 BS、されどBS
第2回 BSを自分のものにする
第3回 BS遵守の目的
第4回 標準バンクロールと平均ベット
第5回 メンタル・コントロールのための長期的視点
◆第1回(2007.10.30)
地位も富も失いかねないバカラの魔性の魅力・序章
◆第2回(2008.01.31)
バカラの罫線 ~「人間罫線」に要注意
◆第3回(2009.04.30)
絞りがカードを変える!?
◆第4回(2009.07.30)
単純なようでそうでないバカラのルール
◆第5回(2009.10.30)
プレイヤーに好条件のマカオ・バカラの魅力
◆第6回(2010.06.04)
バカラにもマナーを。(やってはいけない暗黙のルールとは)
◆第7回(2010.06.10)
大勝利
4年毎に開催されるワールドカップやオリンピックを除いて、毎年開催されるイベントで世界最大のものは何であろうか。ゴルフのマスターズ、テニスのウィンブルドン、NFLのスーパーボウル???
驚くかもしれないが、今年の7/28から開催されるポーカーのワールドシリーズ(WSOP)のメインイベントである。サテライト(予選)を含めた参加者の数(のべ数十万人)、賞金総額(約80億円)、優勝賞金(10億円以上)という数字をみれば、納得されるだろう。観客の数は他のイベントに負けるのであろうが。
そして、何よりもこのイベントの偉大なところは、自分の支払い能力に応じた参加費さえ支払えば、誰でも参加できることである。本戦の参加費は10000 ドルであるが、予選は$10以下で参加できるものもあり、スポンサーの提供で参加費無料というものもある。そして、優勝のチャンスは誰にでもある。この点、参加資格が限定されたウィンブルドンやマスターズとは異なる。また、ポーカーのルールは簡単で、ほとんどの日本人は、ポーカーの手役は覚えている。そして、囲碁や将棋のように技量の高いものが絶対に勝つというゲームではない。
そこで、本稿ではポーカーの初心者やこれからポーカーを始めてみようという方のために、基本的な戦い方やルールなどを説明していきたいと思う。また、その時々のポーカーに関するニュースなども伝えていきたい。
日本でポーカーというと、いわゆるドローポーカーを思い出す人が多いと思う。ちょっとポーカーを知っている人でもセブンスタッドポーカーが多いのではないか。ドローポーカーとは、最初に各プレイヤーに五枚のカードを伏せて配り、プレイヤーが選んだ枚数を交換させて出来上がった手役の強弱を競うものである。しかしながら、現在世界でプレイされているポーカーは、ホールデムという種目であり、WSOPメインイベントもこのゲームでおこなわれている。本稿でもこのホールデムというゲームをメインに扱っていくことになる。
また、ポーカーの手役の強弱は知っているものとして扱うので、ご了承いただきたい。
前回はBSを信じて貫き通すことの大切さについて触れました。
「BSの理屈は分かるけど、BS通りのプレイはなんだか機械的すぎてつまらない」と思われる方も少なくないと思います。しかし、BJはその部分に面白さを求めるゲームではないというのが僕の考えです。
バカラはカードを引くルールが完全に決められているゲームなのに、それでも多くのプレイヤーがその魅力の虜になっています。また、その単純さ故に奥が深いゲームと言われることさえあります。でももし、バカラが3枚目のカードを任意で引けるゲームだったらどうでしょう。BJと同様に3枚目のカードにプレイヤーの選択権を与えたら、もっと面白いゲームになるのでしょうか?
バカラにはコミッションの問題などがありますから、このルール変更は現実には難しいと思います。ただ、少なくともこのルール変更だけで、バカラが「全く違うゲーム」になってしまうことだけは簡単に想像出来ると思います。
少々強引かもしれませんが、これをBJに当てはめれば同じことが言えます。即ち「絶対にBSから外れないプレイヤー」と「臨機応変に選択を変えるプレイヤー」とでは、同じように見えて、実は「全く違うゲーム」をプレイしているのです。誤解のないように付け加えますが、これは単にプレイ・スタイルの問題であり、優劣の問題ではありません。僕がこの連載を通じて話したいのは、前者のプレイ・スタイルについてです。
BJのルールにプレイヤーの選択権が与えられているのは、巧妙に仕組まれたカジノの罠だと考えてください。そこにプレイヤーの主観が入る結果、すなわち、プレイがBSから外れれば外れるほどハウスエッジは大きくなり、カジノが儲かる仕組みになっている訳です。目の前のゲーム結果だけを見て、「ほらね!BS通りにヒットしなくて正解だった!」などと思ったりしていたら、残念ながらカジノの思うツボです。ロングランでは、BSが最善の選択となるのは間違いのない事実だからです。
ルールによって多少の違いはあるものの、プレイヤーからみて-0.5%前後のハウスエッジと言われるBJですが、実際にカジノがBJテーブルから得ている平均的な利益は、それよりも桁がひとつ大きいという事実を忘れないでください。
BSは理由を付けて理解する
BSを自分のものにするためには、ただ丸覚えするのではなく、ある程度理由付けして理解していくと記憶に残りやすくなります。BSはディーラーのフェイスアップカード(以下アップカード)に対するプレイヤーの合計数でその戦略が決まります。基本は「ディーラーのホールカードを常に10と考える」こと。ホールカードとは伏せられた2枚目のカードのことです。なお、オーストラリア・カジノなどではホールカードを予めディーラーに配らない(ノーホールカード・ルールと呼ばれています。)ので、その場合は単にディーラーの2枚目のカードと解釈してください。たとえば、アップカード6の場合、ディーラーの最初の2枚の合計数を16と考えれば結構です。そこからプレイヤーの合計数と対比させて考えていくと、ある程度その理由付けができます。
次に、BSを以下の3つのカテゴリーに分けて考えてみます。必要に応じて以下のリンクのBSチャートを参照しながら読み進めてください。
オーストラリア・カジノのBSチャート
ラスベガス・カジノのBSチャート
1)ハードハンド
8+10=18などのように、それ以外に変化しようのない組み合わせ
2)ソフトハンド
Aを含み、A+7=8 or 18のように2通りに解釈できる組み合わせ
3)ペア
同じ数字2枚のペアで、スプリットのオプションもあり得る組み合わせ
1)ハードハンドでは、
・ アップカードが7以上のとき、プレイヤーは合計数17以上になるまでヒット(アップカードAは11と見なします。)
・ アップカードが6以下のとき、プレイヤーは合計数12以上をステイ
・ 例外としてアップカードが2もしくは3のときだけ、プレイヤー合計数12をヒット
・ プレイヤー合計数11は、アップカード10以下に対してダブルダウン
・ プレイヤー合計数10は、アップカード9以下に対してダブルダウン
・ プレイヤー合計数9は、アップカード3から6に対してのみダブルダウン
2)ソフトハンドでは、
・ プレイヤー合計数ソフト13(A+2)からソフト17(A+6)は、アップカードに関係なくヒット
・ アップカードが9以上のとき、プレイヤー合計数がソフト19(A+8)以上もしくはハード17以上になるまでヒット
・ プレイヤー合計数ソフト19(A+8)とソフト20(A+9)は、アップカードに関係なくステイ
・ プレイヤー合計数ソフト18(A+7)は、アップカード2から8に対してのみステイ
※注:ラスベガス・カジノのBSでは、上記以外にソフトハンドからのダブルダウンも存在します。
3)ペアでは、
・ AAと88のペアは、アップカードに関係なく常にスプリット
・ TT(T=10カード)と55のペアは、アップカードに関係なく常にスプリット無し(とくに55は、ハードハンドの10として考える。)
・ 22、33、77のペアは、アップカード2から7に対してだけスプリット
・ 66のペアは、アップカード2から6に対してだけスプリット
・ 44のペアは、アップカード5と6に対してだけスプリット
・ 99のペアは、アップカード7、T、Aに対してだけスプリット無しで、それ以外はスプリット
さて、いかがでしたでしょうか?BSチャートの理解と暗記に少しでもお役に立てたら幸いです。
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3.スリーサイドの絞り このカードは6 4.スリーサイドの絞り このカードは8
ノーサイド(タテ、モーピン) ツーサイド(リャンピン) スリーサイド(サンピン)
フォーサイド(セイピン) ピクチャー(絵札のこと。アボジ(お父さん)とも呼ばれる)
絞りがいのある合わせ。
ノーサイド+スリーサイド(9を超えてしまう可能性もあるが7~9の期待ができる)
ノーサイド+ツーサイド(最高は8だが、悪くても5は保障される)、ピクチャー+スリーサイド(6以上が確定。最高はナチュラル8)
ツーサイド2枚、フォーサイド2枚(ナチュラル8や9の可能性が大。いわゆる激アツ)
絞りがいのない組み合わせ
ピクチャー2枚、ツーサイド+スリーサイド、ノーサイド+フォーサイドなど。
スリーサイドは面白い
スリーサイドのカードは3つのマークのうち2つが同じ向きで、ひとつが逆になっている。
同じ向き側の真ん中にマークがなければこのカードは6であり、向きが違う側の真ん中にマークがあれば8である。
両方とも絞る必要はないのだ(ダイヤの場合は分からない)
「絞り」という行為はバカラを語る上で、非常に重要である。
それは「強い人(ツいてる人)が絞れば、いいカードを出す」と信じられているからだ。中国人は特にその傾向が強い。マカオのカジノがバカラばかりなのもそうだし、チョウ・ユンファ主演の『ゴッド・ギャンブラー』という映画も「ツいている人(賭神)」が主役だ。
絞りのパフォーマンスは、上記に挙げた基本的なものだけでなく、左記のようなアレンジを加える人もいる。
・自分の欲しい数の数字と同じシート番号にカードをこする。
・フォーサイドを絞る際に、カードの真ん中をくり抜き、色がついていれば9。
・灰皿など反射するものに映す。
・羅紗にカードをひたすらこすって消す。
・二枚のカードを重ねて少しずつズラして絞る。
などなど、人によって絞り方は様々である。カジノにもよるが、破ってもかまわない。
こういうパフォーマンスを見ていくとまたバカラは奥深いと思う。
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ノーコミッションバカラ
2007年2月、私は済州島のあるカジノに来ていた。
2日目の滞在で私は持ってきた資金のほとんどをスッてしまい、原点復帰はムリだとしても、オールインを2回決めてなんとか今の資金を4倍にしたいと考え、ドラマ「オールイン」のロケ地である「オールインハウス」でとにかく祈りをささげ再びカジノに舞い戻った。
最初の勝負はバンカーにベットし、プレイヤー6に対して、4から3を引き合計7で辛くも勝利。
そして2回目……。
手元のチップをすべてバンカーサイドに押し出す。
私の元に2枚のカードが配られる。
震える手で2枚のカードを絞る。
セイピン(9か10)とサンピン(6、7、8)だ。最高でナチュラルエイト最低でも5だ。
さらに祈りを込めて絞ると……。
結果、9と7で合計6!
プレイヤーのカードを開けさせるとピクチャーとAの1点。続く3枚目のカードはピクチャー?立ち上がってガッツポーズ!
そして、配当が付けられるが…。あれ?少ない?
「ロクハンかぁ?!」
そう、このテーブルはノーコミッションバカラ(通称ロクハン)であったため、バンカー6の場合、配当は半分になるのだ。かくして資金4倍増計画は失敗したのであった。
ディファレンシャルとは?
バカラはカジノの王様と言われるだけあり、世界中見渡してもブラックジャックやその他のゲームと比べるとハイレートになっていることが多い。
そんな中でもラスベガスのカジノのVIPルームのミニマムが大抵100ドルであることから(あくまでスクイーズバカラ)、世界中のカジノでも100ドル前後がVIPルームのミニマムレートとなっている。
そんな中、マカオは100香港ドル(約1500円)というバカラ卓があるし、フィリピンでは100ペソ(約250円)というバカラ卓もある。もちろんスクイーズ可能である。
また、カジノのVIPでもハイローラーと呼ばれるクラスになるとミニマムやマックスの金額以上にディファレンシャル(バランスとも言われる、プレイヤーサイドとバンカーサイドの総額の差)の幅の大きい卓を好むようだ。ようするにハウス(カジノ)にとってどのくらいの金額までを受けられるのかということで、こういう卓にはミニマムの金額などの表記はない。
ちなみに、私の友人でラスベガスのストリップ沿いの某一流カジノでなんと、わずか1ドルでスクイーズした人いる。もちろんその人のアベレージベット(平均賭け額)は3000ドルだが。
バンカーコミッション
バカラにはバンカーコミッションと呼ばれるものがある。バンカーで勝った場合にその5%をハウスが差し引くのだ。これがいわゆるテラ銭であり、胴元の確実な収入源となる。
しかしながら最近の環太平洋のカジノではノーコミッションバカラと呼ばれるゲームが増えてきている。これはバンカーで勝利したらテラ銭を差し引くことはしないで1倍の配当を付ける代わりに、バンカーが6で勝利した場合には0.5倍の配当しか付けないというものである。これは配当に面倒がないのは良いのだが、長い目で見るとコミッションバカラと比べれば控除率の良くないゲームとなってしまう。
マカオ独自のタイ・ルール
いわゆるプレイヤーもバンカーも同じ数字だった場合、タイにベットしたプレイヤーにはその金額の8倍の配当が付く。
例外もあり、以前のマカオのカジノではタイが出ると「勝負が決まっていない」と判断され、タイに賭けた人には配当が付くが、プレイヤーとバンカーにベットしたチップに触れることは許されなかった。つまり、プレイヤーとバンカーにベットしたチップは次のゲームに持ち越され、同サイドに強制ベットとなるのだ。
従って、タイの後に自分がベットしたチップを引きたいという場合は、次のゲームで自分がベットした同金額のチップを逆のサイドに賭けなければならなかった。そうすることでプレイヤーとバンカーのどちらが勝っても賭けた金額は戻ってくるのだが、バンカーで勝った場合はコミッションを差し引かれる点に注意したい。
このルールは、今でもマカオのSTDM系列のカジノの一部で残っているルールだ。このルールではタイが出た後に、絞り手(最高額のベットをした人)が逆サイドにも同金額のチップを張った場合、プレイヤーもバンカーも同じ人が絞るといった面白い光景を見ることが出来る。
バカラは単純明快なゲームであるが、同じカジノ内にも様々なレートの卓がある。また各地にローカルルールがあり、ここを理解していないととんでもない落とし穴があったりする。どこのカジノのどのテーブルに座るかによって勝負は全て決まってしまう。
知れば知るほどバカラは面白い。
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「ツラ」だけに賭けるやり方
今年8月、ウィンマカオでの私の体験。
とあるバカラの罫線電光掲示板を見ると7目連続のツラになっていた。私は混み合っている席の後ろから、チップを握りしめた手を伸ばしてバンカーにベットする。テーブル上のバンカーエリアは様々な色のチップで埋め尽くされ、方やプレイヤーサイドのエリアにチップは1枚も置かれてなく、誰もベットしていない。皆、このままバンカーがずっと続いてくれることを祈っている。
「プレイヤー3 バンカー8 バンカーウィン!」とディーラーが叫ぶ。
ここから全員の配当を付けていく。バンカーであるからコミッションを差し引くため、時間がかかる。
マカオに来てから2日間、何百とあるバカラ卓の中からこの「ツラ」が出ている所を探しては300香港ドル(約4500円)から500香港ドル(約 7500円)のチップを張り続けた。決して座らない。座らずに「いい状態」のバカラ卓だけを探し続けるのだ!思惑通り、現在までで1万香港ドル(約15万円)強を稼ぎ出している。この方法は現在のマカオでしかできない。罫線電光掲示板があり、どこに行っても罫線を書く必要もなく、しかもバックベット(テーブルに座らずに賭けること)ができるからだ。
ようやく配当を付け終わった頃、私の立っている前の席がたまたま空いた。一瞬迷ったが、さすがに疲れてきたので、座って打つことにした。メンバーズカードを出し、手持ちのチップを並べる。さあ、次の回だ。バンカーは8回連続で落ちている。その前にも12目連続のバンカーヅラが出ている。間違いない。
「ここから4目連続1万香港ドル張りでバンカーが出れば、5万香港ドルの儲けだ。それだけあれば、豪遊できる。新しく出来たレストランでカリスマシェフのステーキを食べて、ホテルのスパで長いマッサージを施してもらう」と悪魔が囁く一方で、
「キケンだよ!せっかくここまでコツコツ貯めてきたのに」と天使が警告する。
「行け~!」
私は、手持ちの儲けのほとんど全てである1万香港ドルをバンカーエリアに張った!ミニマム300香港ドルの卓でこの額はやはり注目を浴びる。
カードが配られる。今回マカオに来て初めての絞りだ。こういう場面ではいかに大きな額をベットしても、それまでずっと勝利してきた「絞り手」に引き続き絞ってもらうのが常識だ。
しかし、私はこの1万香港ドルの運命を誰か他の人に委ねたりしたくはなかった。2日間かけてここまで育てたかわいいかわいい軍資金だからだ。「プレイヤーオープン!」と叫ぶ。
プレイヤーサイドはピクチャーと4の合計4。私の絞る1枚目は3。2枚目はツーサイド。このツーサイドが5ならナチュラル8で勝利だ。「付け・・・付けぇ~!」と渾身の絞りで真ん中のマークをイメージする。周りの中国人も一斉に「テンガー!テンガー!!」とコールする。しかし、真ん中にマークは現れず、4。合計7である。
悪くはない。プレイヤーサイドはもう1枚引くことが出来る。まかり間違ってツーサイドが出るようなことがない限り、負けることはない。卓上には既に2枚のツーサイドのカードが出ているから確率的に出ないだろう。
ディーラーがプレイヤーの3枚目のカードをゆっくりめくる。そこにはツーサイドの5!ディーラーが首を振る。 「プレイヤー9、プレイヤーウィン!!」 卓上の全てのチップが回収される。同時に潮が引くようにギャラリーがいなくなる。その中の何人かが恨めしげに私を見る。「おまえが絞ったからだ」と間違いなく訴えていた。
好条件が揃うマカオのバカラ
現在、マカオがドラスティックに変貌を遂げているのはご存知の通りであるが、マカオのカジノの華であるバカラ卓にも大きな変化がある。中でも大きな変化が、罫線の電光掲示板化だ。私の記憶では、これが最初に登場したのは旧リスボア内のクリスタルルームが出来た6年前だと思うが、今ではこれがないカジノを探すほうが難しい。全てのバカラ卓にこれがあることで罫線を記入する人は全くいなくなった。しかも、即座に状況が分かるようになったため、「ツラ」が出ている卓には人が群がり、盛り上がる。どのカジノに行っても一つくらいはそんな卓がある。そういう状況に拍車をかけている要因があとふたつある。
ひとつはマカオのカジノがVIPルームを除いて基本的にバックベットを許可しているからだ。これによって座れなくても自由に賭けることができる。
もうひとつは、ベットスプレッド(ディファレンシャル)が非常に大きい為、ハイローラーからローローラーまで一緒に勝負が出来ることである。
要するにバカラプレイヤーが望む条件をマカオのカジノはほぼ満たしてくれているのだ。
この三つの要因を充たしているカジノはマカオ以外ではほとんどない。マカオの発展の理由として「大型外資カジノの参入」や「永住者の増加」「交通インフラの充実」などをしたり顔で挙げる人が多いが、私に言わせれば、バカラのこういった細かい改良点が大きな要因だと思う。なぜなら、60億ドルを超えるカジノの売上高の大部分がバカラによるものだからだ。ホントにバカラはおもしろい。
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ポーカー侍プロフィール
幼少時よりゲームがすきで、囲碁・将棋・モノポリーなど何でもこなす。成人後はラスベガスなどに通い、ビデオポーカーやパイガオポーカーなどポーカー系カジノゲームのオーソリティー。5年程前より海外のライブポーカートーナメントに参加しはじめ、2005年WSOPメインイベントでアジア国籍者で唯一人の入賞者となり、$65000ドルを獲得。 今年も、全米放映されたMANSION POKER DOME CHALLENGEに出場し、日本を前面に押し出したキャラクターで話題を得る。すでに今年のWSOPメインイベント出場権を獲得している。日本でのポーカーの普及に日々努力している、日本人トップポーカープレイヤー
ポーカー虎の巻
第一之巻 ホールデムポーカーのやり方
第二之巻 ホールデムポーカーのベッティングルール
第三之巻 トーナメントとライブゲーム
第四之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (1)
番外編 13億円の夢破れる-WSOP メインイベント-
第五之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (2)
第六之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (3)
第七之巻 私のポーカー戦略-はじめに
第八之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(1)
第九之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(2)
第十之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(3)
第十一之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(4)
第十二之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(5)
番外編 トーナメントのルールとマナー
番外編 日本にもポーカーブームの兆候が
第十三之巻 私のポーカー戦略 - ベッティング(1)
第十四之巻 私のポーカー戦略 - ベッティング(2)
番外編 ミスプレイと番外編
また、Qs9d ならば、次にKや8がでれば、ストレートが完成することになる。
リミットホールデム
リミットゲームとは、最低ベット額と最大ベット額が決められているゲームであり、一般的にベット額はビックブラインド(BB)のベット額の倍数である。
例えば、BBのブラインド額が$10の場合には、レイズ額は$10(合計$20)であり、さらにレイズする場合は合計$30($10X2+$10)となる。
各ラウンドでレイズができる回数はポーカールーム毎に定められており、通常は3-4回である。
ポーカールームでライブゲームをするときには、$10-$20 Limit HLDMのように表示されている。この意味は、ベット額がプリフロップ・フロップの段階では$10で、ターン・リバーの段階で$20という意味である。レイズのできる回数は、各ポーカールームによって異なるので、テーブルについたらディーラーに確認しよう。
リミットゲームは、ベット額が定められているので、リミットが低額のテーブルでは、フロップに参加する人数が多くなるのが一般的である。
ノーリミットホールデム
ノーリミットホールデムは、最低のベット額が決められているだけで、最高額は各プレイヤーが持っているチップの額までいくらでもベットできる。従って、BBのベット額が$10でも、自分のチップが$1000あれば$1000までベットできる。ただし、そのゲーム開始までにテーブルにおいてあるチップまでであって、いくらいい手役があるからといって、自分のポケットからキャッシュでチップを買い足すことはできない。自分の持っているチップ全額を賭けることをALL INという。これが「韓国テレビドラマのオールイン」の語源である。
それでは、一度レイズが入った後のリレイズの最低額はいくらになるのであろうか。一般的には、レイズした者がだしたチップ額から、コールに必要な額を差し引いた額の2倍以上である。例えば、BBの額が$10で、レイズの合計チップ額が$50であった場合、$50からコールに必要な$10をさしひいた$40が純粋のレイズ額になる。したがって、リレイズしようとするプレイヤーは、$40X2+$10=$90以上ベットすればリレイズができることになる。尚、自分の持ちチップが$90に満たないときは、オールインが可能である。
ポーカールームでは、$10-$20 NL HOLDMと記載している。この場合、注意しなければならないのは、この表示はSB/BBのベット額を表示しているだけである。従って、ターンの段階でもベット額は、BBのベット額と同じである。
ノーリミットゲームは、レイズされた場合の金額が高くなる場合が多いので、一般的にプリフロップ段階で参加するプレイヤーは少数である。ただし、ベット額に上限がないということは、そのゲームに勝利した場合のリターンが大きいということなので、ストレートやフラッシュのようなハンドが完成すると、相当額のリターンが期待できることになる。従って、BBのベット額が$1-3くらいの小額のテーブルでは、どのようなハンドでもコールしてフロップをみにくるプレイヤーもいるので気をつけなければならない。
ポットリミット
ポットリミットとは、プレイヤーの判断の前にベットされた総額(これをポットという)を上限とするゲームである。プレイヤーがレイズできる上限は、現在あるポットの総額に自分がコールしたときに支払わなければならない金額を足した金額が、ベットできる上限である。
例えば、SB/BBが$5/$10の場合、プリフロップで最初にレイズする金額は、ポットにはすでに$15あり、自分がコールするために$10必要なので、($15+$10)+$10の合計$35までベットできることになる。もちろん、最低レイズ額はBBの2倍の$20からである。
次のプレイヤーがリレイズする場合は、ポットには、SB/BBの$15とレイズしたプレイヤーのベット額$35がある。(プレイヤーがポットレイズした場合) リレイズできる金額は、コールに必要な金額$35を現在あるポット$50に加えた$85までできることになる。従って、ポットリレイズするためには、$35+$85=$120ベットしなければならない。最低レイズ額は、レイズしたプレイヤーの純粋レイズ額である$25の2倍の$50からとなる。(但し、計算が面倒なので単にレイズしたプレイヤーのベット額の二倍である$70以上にしているところもある)
フロップがあいて、最初にベットする場合は、コール(チェック)するのにチップは必要ないので、BBの金額からポットの総額の範囲でベットできることになる。
このように、ポットリミットは一回のベット額の上限が決められているとはいえ、その金額はベットが増えるたびに複利式に増えていくことになる。他方、ノーリミットと異なり、いくら良い手役が来てもレイズ額が限定されるため、一度に獲得できるチップは限界がある。従って、良い手役がある場合には、プリフロップ・フロップ・ターンの各段階で積極的にポットの金額を上げていかなければならないことになる。
ポーカールームでは、$10-$20 PL HLDMと表示されているが、アメリカではこのゲームをライブでおこなっているポーカールームは少ない。ポットリミットはオマハホールデムなどの他のゲームで利用されているようである。
ポットリミットのベット上限額を知るのには、ある程度経験が必要である。そこで下記に練習問題を作成した。次回までに考えておいてほしい。
●練習問題
SB/BBは$5/$10の6人テーブルのポットリミットホールデムである。SBをプレイヤーA,BBをプレイヤーB、以下順にC,D,Eと並びFがボタンである。
BBの左隣のプレイヤーCがコールし、プレイヤーDがフォールド、Eがコールしたところ、FがBBの3倍の$30をレイズした。(ベット額は$40)
SBのAがフォールドしたが、BBのBがポットレイズを宣言した。
Cはフォールドしたが、Eはその時点でのもちチップ全額($60)をオールインした。
Fは再度、ポットレイズを宣言した。Bはコールした。
1)Bのポットレイズした金額は合計でいくらになるか、(テーブルに出したチップ額)
2)Fのポットレイズした金額は合計でいくらになるか。(テーブルにだしたチップ額)
3)フロップが開いた時点でのポットの総額はいくらか。
(4)オールインしたEが勝った場合にいくらのチップ量を獲得できるか。
(メインポット・サイドポットの配当の仕方については、この問題の回答で説明します。)
次回は、ライブゲームとトーナメントについて説明する。
<<ポーカーを楽しもう!INDEX
WSOPの第一次遠征から返ってきた。今回の遠征の目的は、シニアイベントに参加することと、日本からも多数参加したレディーストーナメントの応援が主な目的であった。シニアもレディースも、WSOPのシリーズでは珍しい、参加資格が限定されているトーナメントである。
シニアは、第三ラウンドでフロップでトップツーペアー(フロップで開かれたカードのランク上位2枚のツーペアー)対ローカードセット(プリフロップで配られた2枚のペアーがスリーカードになること)という最悪の展開で序盤で飛んでしまった。
まあ、シーザーズのディーリートーナメントで勝って、$10,000をゲットしたのでよしとしよう。
さて、今回はトーナメントとライブゲームの違いについて、説明する。
ライブゲームは、キャッシュゲームやリングゲームとも呼ばれ、キャッシュをかけてゲームを楽しむものである。世界中のポーカールームでおこなわれている。つい数年前までは、リミットゲームやポットリミットゲームがほとんどであったが、現在のラスベガスではローレートのノーリミットホールデムが主流のようである。
ポーカールームで、ライブゲームに参加しようとする場合には、ポーカールームの受付で、参加したいゲームの種類・レートを登録して、テーブルがあくまで待つことになる。テーブルがあくと登録した名前を呼ばれ、テーブルを指定されるので、そこでプレイする。一般的には、テーブルでチップを購入する。各ゲーム毎に、ポットから一定のレイク(ポーカールームの手数料)が差し引かれ、そのゲームに勝ったプレイヤーに残りが配当される。ポットを取ったときには、ディーラーにチップを忘れないようにしよう。
開催されているゲームはそのポーカールームによって異なるが、ラスベガスでは$1-$2,$2-$5ノーリミットホールデムや$3-$6、$4-$8リミットホールデムはいつでも開かれている。ベラッジオのような高級ホテルでは、$100-$200リミット以上の高額なレートもある。オマハホールデムやセブンスタッドを常時開催されているポーカールームもある。
ポーカートーナメントは、参加者が最初に配られた同額のチップをもってプレイし、持ちチップがなくなった順に抜けていき、最後の一人になるまで戦う試合形式である。WSOPをはじめ100万ドルをこえる巨額な優勝賞金があたえられる試合も多い。日本では、現金をかけてのゲームは違法であるので、いわば名誉をかけてポーカーを楽しむプレイヤーが集まってトーナメントが開催されている。
ポーカーニュース日本語版では、毎週国内で開催されるポーカートーナメントやメジャートーナメントの日程を案内しているので、参照してほしい。
一般的にポーカートーナメントの賞金は、各参加者が支払う参加費から主催者の手数料(参加費の10%前後)をさしひいた残りを積み立てる形式でおこなわれる。トーナメントによっては、主催者や大会スポンサーが賞金を積み増しする場合もある。従って、参加費$10,000、参加人数8000人が予想される WSOPメインイベントの賞金総額は80億円を超えると予想されている。
優勝者がすべての賞金を独占するウイナーテイクオール形式のトーナメントもあるが、一般的には、優勝者が賞金総額の20%-35%程度をとり、残りを他の入賞者でわけあう形式が多い。入賞の一般的基準は、参加者総数の10%の人数である。
このトーナメントは、WSOPやWPTなどのいわゆるメジャートーナメントだけではなく、各ポーカールームで毎日開催されているディーリートーナメントもあり、参加費は$25程度から$1000くらいまで様々で、優勝・入賞した場合の賞金も異なる。
トーナメントに参加しようとするプレイヤーは、そのポーカールームのトーナメント受付で参加費を支払い、参加受付票をうけとり、開始時間に受付票に記載されたテーブルに行き、その受付票をディーラーに示して、指定された座席でプレイすることになる。テレビ放映されるメジャートーナメントでは、参加申し込み時にテレビ撮影時の承諾書にサインを求められる場合もある。また、カジノによっては、そのカジノの会員であることを示すプレイヤーズカードの提示を求められることがある。今年のWSOPに参加する場合は、ハラス系ホテルの統一プレイヤーズカードであるTOTAL REWARDS CARDが必要であった。
気をつけなければならないのは、米国で開催されるメジャートーナメント・ディリートーナメントを問わず、獲得賞金が$600をこえた場合には、米国以外の在住者には一律30%の税金が源泉徴収されることである。この点、いくら勝ってもその場では源泉徴収されないライブゲームと異なる。例外として、米国連邦収入局(IRS)発行のTNT#をもっていれば、この源泉徴収はおこなわれない(1042-S2フォームは作成される)。TNT#の取得には、源泉課税されたことを証明する1042-S2フォームをつけて、後日に申請するのが原則である。その場で取得を代行してくれるカジノ(ベラッジオ等)もある。取得後は、源泉徴収された税額のリファンドを求めることもできる。ただし、IRSは1041-S2が発行された情報をすべて日本の財務省に通告することになっているので、日本で一時取得として確定申告する必要があることを付言しておく。
次回はトーナメントに参加するについて、知っておいたほうがいい事項について説明する。
<<ポーカーを楽しもう!INDEX
WSOPメインイベント参加の前哨戦として、第7回リゾポカに参加しました。かってないツキに恵まれ優勝という望外の結果を得ました。WSOPにむけ、最高のスタートをきれたと思っています。そこで、本コラムの読者の方から、「質問コーナーがあったらいい。」とか、「カードなどをビジュアルかしてわかりやすくしてほしい。」などの貴重なご意見をいただきました。リゾカジ編集部の方と相談して実現していきたいと思います。
ポーカートーナメントとライブゲームの違い
ポーカートーナメントは、最初にあたえられたチップがなくなれば、サヨナラしなければならない。その点、ポケットから新たなキャッシュをだしてチップを買い増しできるライブゲームとは異なる。ポーカートーナメントはサバイバルゲームなのだ。従って、できる限りチップがなくなる危険を回避することが重要である。ライブゲームは、少々危険があっても、投資効果を考えてプレイすれば、最終的に勝ち組に回ることは可能である。33%の確率で勝利できる手役で、5倍のチップ量を獲得できるならライブゲームの投資としては充分である。(この考え方をオッズという。) しかしながら、トーナメントで持ちチップ量が少ないときに、この考えをとってはいけない。66%もサヨナラする確率があるからである。もちろん、チップリーダーの場合のように、オッズ理論が有効な場合があることも忘れてはいけないのだが。詳しくは、私の戦略の項で後述する。
要は、ポーカートーナメントはサバイバルゲームだということを充分認識してプレイしてもらいたい。
入賞しなければ何も得られない
ポーカートーナメントの入賞基準は10分の1である。入賞しなければ、何も得られない。もちろん、ポーカーを充分楽しんだという精神的な満足は別としてではあるが。従って、どうしたら入賞できるかを考えながらプレイすることが重要である。
例えば、あと五人飛べば入賞という時点で、持ちチップ量がその時点の平均チップ量を持っていたとしよう。巨額のチップ量をもつチップリーダーがレイズしてきた、貴方はKKを持っていた場合、どうすべきであろうか。ヘッズアップ(1対1の対戦)でのKKの勝利確率は75%程度ある。ALL IN リレイズすべきであろうか。
私はFOLDすべきだと思う。(私ならAAでもFOLDするだろう。) なぜなら、25%も飛んでしまう確率があるからである。この状態では、ブラインドをとられても入賞は確実であろう。従って、まず入賞を確定させることが重要だと思うからである。
同じ状況でも、自分がチップリーダーであったり、このままいくと自然死して入賞を逃す可能性が高い場合はもちろん勝負である。このように、入賞を常に意識して臨機応変にプレイすることが重要である。
賞金は上位者に厚い
ポーカートーナメントの賞金配分は、上位に厚い。入賞したらファイナルテーブルに残り、上位3位をめざそう。入賞が決定したら、参加費+アルファが保証されている。また、ファイナルテーブルに残るまでは、それほど賞金額に差がないのが一般的である。もちろん、WSOPのメインイベントのように、高額な参加費で数千人も参加するトーナメントでは、それなりに違いはあるのだが。従って、事故で飛んでしまっても、またリスクが高い勝負をしてもよいと思う。ファイナルテーブルをめざすために、どうするかという考え方でプレイすることが重要だと思う。
要は、トーナメントの各段階で、自分の具体的な目標をさだめ、それを達成するためにどのようにプレイするかを常に考えることか必要である。
<<ポーカーを楽しもう!INDEX
リゾポカ掲示板に書いたように、Day1 5ラウンドで敗退してしまいました。残念ですが、やむを得ません。そこで、今回は予定を変更して参戦記にしました。気楽に読んでいただければ幸いです。
ラスベガスに戻ってきて、びっくりしたのはWSOPのメインイベントでどのホテルでも盛り上がっていることです。7月25日についたのですが、多くのホテルの有名レストランでは、メインイベントの参加者のためのパーティーがおこなわれており、一般客の予約が入らないことでした。私にも、4箇所からの招待状がきました。結局、日程の関係で2つしか行けなかったのですが。
また、ホテルのポーカールームのディーリートーナメントの参加者もすごい人数で、前回私が優勝したシーザースパレスの$220トーナメント($120+$100Rebuy)トーナメントの優勝賞金は$17000になっていました。メインイベントの参加者のほとんどは、オンラインポーカーのサテライトを抜けてきているので、メインイベントの参加前の練習としてライブトーナメントに出場したのだと思います。私も、日本人の参加者になるべく多く参加したほうがいいとすすめていました。
私は、メインイベント前に二度参加し、一度は15位入賞(220人参加)で$640いただきました。もう一回は、何もできずにとびました。
入賞したときも含めて、AAは一度もこず、ツキは下降気味かと思いました。
28日に、WSOPの会場のRIOに移動しました。RIOでは、昨年と同様にWSOPの会場のとなりの部屋で、ポーカー関係の見本市が開催されており、オンラインポーカールームやポーカー関連グッズを扱った店でにぎわっていました。ドイル�・ブロンソンやグレッグ・レイマーなどのサイン会もおこなわれていました。昨年、私を飛ばしたグレッグは私のことを覚えていてくれたらしく、またテーブルで会おうといって握手してくれました。
メインイベントの会場に行くと、公式発表で8700人を超えるエントリーがあり、テーブルで飛んだプレイヤーの後にはいるスタンバイのプレイヤーが500人以上いることがわかりました。優勝賞金は1200万ドル(約13億8千万円)、15位でも約1億円になります。
その関係だと思うのですが、1ラウンドのプレー時間が、事前発表されていた100分から120分に延び、ディナーブレイクも90分とるということになりました。また、休憩も1/2づつ交代でとることになりました。応援観戦はディナーブレイクまでは禁止されました。この結果、Day1のプレー終了時間は翌日の午前3時をこえることになりました。(これは昨年も同様だったので気にはなりませんでしたが。但し、昨年は8ラウンドに一部かかりました)
このような変更に基づいて、昨年の経験も加えて自分なりの戦略をたててみました。
● まず、一ラウンドのプレイ時間が延びたので、持ちチップ量が少ないと、アンティーをとられるディナーブレイク以後の戦いが難しくなる。従って、ディナーブレイクまでに15000程度を目標に設定し、持ちチップ量が7000になるまでは、参加する初手のレベルをさげ、ローペアーや89sなどでも参加する。参加した以上プリフロップで4倍までのレイズはついていく。
●次に、ブラインドが少ないラウンドのプレイ時間も延びたので、プロやプロを目指そうという若いプレイヤーが、ルーズにプレイしてくる可能性が高いので、1-3ラウンドまではローストレート・ローフラッシュ・ローセットやツーペアーなどにつかまらないように注意する。つまり、勝っていると思っても、ナッツ以外はリバーではチェック・コールして安全を期すこと。
●序盤では無理してスチールをねらわない。従って、レイトポジションであってもA8oなどでは参加しない。
●最後に、上記を前提として、プリフロップでレイズで入る場合は、ルーズプレイヤーに負担をかけるために、いつもよりワンベット多くして、ブラインドの五倍程度ではいる。
ところが、この作戦が裏目に出てしまいました。
その原因はテーブルの構成が予想と異なり、非常にタイトなテーブルだったのです。若いオンラインプレイヤー(各オンラインポーカーのウェアーを着ている) は3人、シニア世代のベテランプレイヤー(セミプロクラス)が4人もいるテーブルだったのです。その若いプレイヤーもライブトーナメントには慣れていないらしく、ロックのようなプレイヤーでした。極端に言うと、私がルーズアグレシッブルなプレイヤーにみられる状況になってしまったのです。つまり、上記のようなハンドでもスチールはできるのですが、一旦コールされると非常につらい状況に追い込まれ、フラッシュドローやストレートドローでリバーまでついていかされ、結局ひけずにチップを減らしてしまったわけです。2R終了時点で7000まで追い込まれてしまいました。といっても、テーブルチップリーダーも 15000を越えていませんでした。やむを得ず、作戦変更で固くプレイしてダブルアップを狙うことにしました。
3Rにはいり、作戦を変更したかいもあり(ルーズなイメージがあった)、やっときたAKで勝てたので原点近くまで戻ったのですが、その後はブラインドなどで減らされ、結局8000でディナーブレイクを迎えることになりました。
4Rからはアンテイーが発生します。100-200 A25なので、二時間何もしないと5000くらいなくなってしまいます。ここで、転機がきました。JJで4倍レイズではいったところ、それまで固くプレイしていたショートスタック(5000程度)のボタンがコール。フロップがAsJs7xだったのでチェックしたところオールインしてきたのです。ショートスタックなので、あってもAQくらいだろうと思い喜んでコールしたら、相手はKsQsのロイヤルフラッシュドローでした。そして、リバーでTがでて敗退。ただしハートでしたが。チップ量は2500に激減しました。
しかしながら、まだBBの10倍以上はもっています。まだまだ充分戦えるチップ量です。もちろん、寝ていては5周で自然死するので、戦略を一発勝負に変更しました。つまり、ローペアーでもプリフロップでヘッズアップに持ち込み勝負する。AXや二枚のフェイスカードが配られた場合には、ポジションを考えながら積極的にスチールを狙うなどです。
ポーカーの神様は、まだあきらめない私をみすてませんでした。その周のBBで初めてのKKがきて無事ダブルアップし、その後何度かスチールして7000でそのラウンドを終えました。
5Rは、150-300 A25です。だまっているとこのラウンドで7000近くとられ自然死を迎えることになります。従ってつづけてダブルアップを狙っていくしかありません。タイトであまりチップ量に差がなかったテーブルもR4から3人のプレイヤーが20000以上持つという状態になり、ぶつけて勝てればダブルアップが容易に可能な状態になりました。何度かスチールができたり、セミブラフ的な(KTs)オールインリレイズがきまったのですが、ブラインドとアンティーがきつく、 90分を経過したところで4500程度になっていました。
そして、今年のWSOPの終了の瞬間をむかえたのです。
アーリーポジションの金持ち(30000弱)がレイズで1300いれてきました。いままでのプレイをみるとアーリーから参加したときは、コールのほうが手がいいのです。従って、ATやあってもローペアーと考えました。私のハンドはAQoです。残りチップからみても、ここはいくしかないと考え、ギャンブルすることにしました。ALL IN リレイズしたのです。
ところが、私よりもショートスタック(4000位)のボタンがALL IN コールしてきました。まったく予想外のことでした。後ろのプレイヤーは素直にフォールドしてくれるものと思っていました。金持ちは、ちょっと考えてコール。ハンドは予想通りTT、ショートスタックもローペアーを期待したのですが、最悪のAKでした。この段階で、勝率は金持ちが45%程度、AKが33%程度、私が20%程度です。覚悟して立ちあがりました。フロップでレディー(Q)の登場が望みだったのですが、あっさりカウボーイ様(K)がいらっしゃいました。終わりとおもって、扇子やネコなど片付け始めたところ、リバーでレディーがでて金持ちには勝ちました。しかし、残りチップ量は800弱です。
結局、BBでレイズされ、ノールックでコール(575)しました。相手はAK、私はJ9sで何も当たらず終了しました。
テーブルのプレイヤーと握手して離れました。
今回は、ハンドがこなかったこともありますが、序盤の作戦がうまくいかなかったこと、JJのセットをストレートでまくられたことなど流れをつかめなかったことが敗因だとおもいます。ちなみに400ゲーム以上プレイして、KK-1, QQ-2, JJ-3, AK-2しかきませんでした。
しかしながら、手は来なくてもDAY1の通過基準は参加者の3分の1なので、作戦しだいでは充分抜けられたはずです。タイトなテーブルの状況をもっと早く把握して、微妙に作戦を修正すべきであったと思います。その意味で、7000になるまでは、事前にたてた作戦を変えないという硬直した態度が悪かったと反省しています。昨年が、若手プロが打ち合って、その間隙をぬってダブルアップしたというイメージから抜け出せなかったのかもしれません。
今回は残念な結果になりましたが、私は日本人のプレイヤーでもWSOPで充分戦えるとおもっています。読者の皆様もリゾポカなどのライブトーナメントで経験をつんで、来年のWSOPを目指しましょう。私も、可能な限り国内のライブトーナメントに参加したいと思います。
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テーブルバランス
ポーカートーナメントでは、持ちチップがなくなれば席を離れなければならない。
一つの席がいなくなると、その席はゲームに関係しないものとして扱われる。従って、最初に10人で始めたゲームが、9人・8人のゲームになる。問題は、参加人数が少ないと、それだけブラインドが早く回ってきて参加人数の多い他のテーブルより不利になることである。
この不利を解消するのがテーブルバランスである。
一般的には、全体のテーブルの平均参加人数+1人のテーブルから全体のテーブルの平均人数-1人のテーブルにプレイヤーを移動させることである。残り3テーブルで、テーブルAが8人、テーブルBが7人、テーブルCが6人の場合、テーブルAからテーブルCにプレイヤーを移動させることになる。
テーブルの移動のさせかたは、ポーカールームにより異なる。移動させられるプレイヤーにとって最もフェアーな移動のさせ方は、最後にとんだプレイヤーの位置をディーラーボタンから何番目にいるかを数えて、同じ条件にいるプレイヤーを選択することである。しかしながら、これは運営者側に負担をかけることになるので、一般的には「次にビックブラインドになるプレイヤー」とか「ディーラーボタンから4人目」とかハウスルールで決められている場合が多い。
また、WSOPのように参加者が多いトーナメントで、まだ入賞に関係しない序・中盤の場合は、ワンゲームで数人が一度に飛んでしまっても、飛んだ人数の総数がテーブルの定員に満たない場合は、テーブルバランスをとらない場合もある。飛んだ人数がテーブルの定員に満ちたときに、一つのテーブルを壊して、そこでプレイしている者を各テーブルで空いている席に移動させるわけである。
プレイヤーにとって、テーブルを移動させられることは、一般的には不利である。なぜならそれまで一緒にプレイしていたプレイヤーの情報が使えなくなるからである。しかしながら、これはポーカートーナメントでは必然的におきるものであるから、やむを得ないとおもってあきらめるしかない。
しかしながら、中盤以降のテーブルバランスは別である。少ないテーブル人数でブラインドを早く(結果的に多く)取られることはできるだけさけなければならない。隣のテーブルが10人でプレイしているとき、自分のテーブルが7-8人なった場合は、積極的にディーラーに言って、フロアーパーソンを呼んでもらおう。私は、入賞直前のときに、フロアーが時間をはかりにくるまで自分のアクションを止めたことがある。
ハンド フォー ハンド
複数のテーブルでプレイするポーカートーナメントでは、テーブルごとの状況により進行が異なる。タイトなプレイヤーが多いテーブルでは、スチールが多くなって、進行が早くなる傾向が強いのに対し、ルーズなプレイヤーが多いテーブルでは、フロップ・ターン・リバーまで開く機会が多くなり、1ゲームの時間が多くかかる。結果的に、進行の早いテーブルのプレイヤーはより多くブラインドを支払うことになる。
トーナメントの序・中盤ではこの差は少ないが、入賞直前やファイナルテーブル直前などは、この差は大きい。ベテランのプレイヤーは、いわゆる時間攻めをしてくる場合もある。(時間攻めについては「私の戦略」で後述する。)
この差をなくし、プレイヤーの公平をはかるのがハンド フォー ハンドである。
各テーブルの一回のゲームを同時にスタートし、すべてのテーブルのゲームが終わらない限り、次のゲームにははいらない。すべてのテーブルが同時にスタートし、同時に終わるので、プレイヤーの公平がはかられる。同じ回に異なるテーブルで複数のプレイヤーが同時に飛んだ場合も、時間的に飛んだ順番ではなく、そのゲームが始まる時点で持っていたチップ量の多寡で順位が決まることになる。
日本のトーナメントでハンド フォー ハンドがおこなわれることは少ないが、プレイヤーの公平さをはかる制度であり、ラスベガスのディーリートーナメントでも一般的におこなわれているので、ファイナルテーブル直前などでは採用したほうがよいと思う。
ハンド フォー ハンドは、プレイヤーの公平を保つ制度なのだが、1ゲームにかかる時間が極端に長くなる。その間も、各ラウンドのゲーム時間は進むのが一般的なので、各ラウンドのプレイゲーム数が少なくなり、ブラインドの金額がすぐあがるという弊害がある。
私は、昨年のWSOPメインイベントで58テーブルのハンド フォー ハンドを経験した。
560位までが入賞で、最低入賞賞金額が$12000程度のときに、残り580人からハンド フォー ハンドが始まったのである。各テーブルのディーラーは、トーナメントディレクターの指示に従い、ゲームを開始し、そのゲームが終わると立ち上がり、ゲームが終了したことをトーナメントディレクターに知らせる。トーナメントディレクターは、全員が立ち上がったのを確認して、次のゲームの開始を指示するのである。入賞が決まるまで、15ハンドで90分くらいかかってしまった。
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ディール
トーナメントは、参加費と参加人数により、あらかじめ決められたペイメントストラクチャーに従って、賞金が決定される。しかしながら、参加人数と賞金総額が確定したとき、残っているプレイヤーの合意で賞金額や入賞者の人数を変更することができる場合が多い。これをディール(取引)という。ラスベガスなどでおこなわれているディリートーナメントでは日常的に採用されている。近頃は、オンラインのマルチトーナメントでもディール機能がついているものもある。
注意しなければならないのは、ディールはその時点で残っているプレイヤー全員が合意しなければ成立しないということである。従って、もし貴方が最後まで決着をつけたいと思うなら、ディールの申し入れを拒否することができる。
どのような場合にディールがおこなわれるか、典型的な場合をのべる。
●上位者が確定し、トーナメントを早く終了させる
前にものべたように、トーナメントでの賞金の配当は上位者に厚い。そこで、残り三人程度になった場合で、プレイヤーの持ちチップ量に差がない場合に、 1-3位までの賞金総額を1/3づつに分ける場合である。例えば、優勝賞金が$600、2位が$400、3位が$200だった場合に、残った3人で$400づつわける場合である。優勝者が3人出ることになる。
●リスクを少なくする
優勝と2位の賞金は、雲泥の差である場合が多い。今年のWSOPメインイベントは6億円以上の差があったことを思い出してほしい。そこで、ヘッズアッププレイをする前に、残った二人で合意し、優勝と2位の賞金を変更したうえでプレイを開始する場合が典型的な例である。具体的には、WSOPの例では総額 20億円を優勝11億円にし、2位を9億円にするような場合である。これをおこなうことによって、ヘッズアップの価値が相対的に減少して、気楽にプレイできるし、プレイ時間も短縮される場合が多い。
●バブルボーイを救う
入賞するのと入賞直前で飛んでしまったバブルボーイは雲泥の差である。従って、入賞直前は、各プレイヤーが慎重になり、進行が遅くなる。また、公平性を保つためハンド フォー ハンドがおこなわれる場合も多い。そこで、入賞まで残り一人の時に、残っているプレイヤー全員の合意によって、バブルボーイに参加費相当額を返還するという合意をして、チップ量の少ないプレイヤーに安心して飛んでもらおうとするものである。その賞金は、優勝賞金から差し引かれたり、入賞者から一律$10程度差し引くなどの方法がとられる。
ディールが公式に認められているトーナメントでは、賞金額も合意によって変更される。従って、賞金に賦課される税金も合意された賞金額に従って決められる。
WSOPやWPTなど、メジャートーナメントでは公式にはディールは認められていない。しかしながら、プレイヤー間の裏の合意により、ディールがなされたという話はよく聞く。あるトーナメントでは、優勝賞金100万ドル保証だったが、参加人数が少なかったため、2位以下の賞金があまりにも少なかった。そこで、ファイナルテーブルに残ったプレイヤー間でディールされたらしい。しかしながら、ディールが公式に認められていないトーナメントでは、賞金額は固定されているので、仮に裏でディールが成立しても、賦課される税金は発表された賞金額に応じて賦課されるので注意しよう。
私は、あまり名誉を重んじないので、ディールの申し込みがあった場合は、多少不利でも受けてしまうほうだ。その際、気をつけることは、計算された賞金額が$600前後のときは、少々損しても、税金対策で非課税の$600未満にすること。そして、ディーラーに支払うチップ(賞金額の2-3%が相場)は、優勝者にまとめて払ってもらうようにすることである。
日本では、キャッシュトーナメントはできないので、ディールがなされることはほとんどないと思うが、シリーズ戦のポイントをあらそうトーナメントなどでは、ディールがあっても良いのではないかと思う。
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私のポーカー戦略を語るにあたって、考えてほしいことがある。
「ポーカーに正解はない」ということだ。
将棋や囲碁などは、「次の一手」として正解を求める練習問題がある。しかしながら、ポーカーにおいては、厳密な意味での正解はないと思う。
たとえば、ボタンでAKが配られたとしても、前のプレイヤーが何人コールしたり、レイズしているか。自分のチップ量はどのくらいか。入賞直前かどうか。などによりレイズすべきか。コールでよいのか。あるいは、フォールドしたほうがいいのか。その選択は、状況によって異なるのである。
また、プレイヤーのプレイスタイルによっても異なるのは当然である。
これから私が述べる戦略は、あくまで「私の戦略」であり、一般に通用する「正解」ではない。読者のみなさんは、あくまで自分の戦略を作る参考にしてほしい。もちろん、私はこの戦略を使って、それなりの実績を積み重ねてきたつもりである。また、私はトーナメントプレイヤーであり、リングゲームはほとんどしない。従って、この戦略もホールデム系のポーカートーナメントのためのものである。
プレイ選択の基準
私は、プレイを選択するときに、「ハンドの強弱」「ポジション」「そのときの状況」を基準にきめている。
「ハンドの強弱」は、文字通り配られたハンドの客観的な強弱である。AAを最強としたハンドランクによって決められる。
「ポジション」は、ディーラーボタンからどれだけ遠いかによって決まる。ホールデムは、前のプレイヤーのアクションをみてプレイできるので、ポジションがディーラーボタンに近いほど有利である。従って、ホールデムはポジションゲームであるという人もいる。
「状況」は、そのときのトーナメントの状況(入賞直前かどうか。テーブルのプレイヤーの人数・ペイアウトストラクチャー。ブラインドストラクチャーetc)。自分の持ちチップ量。他のプレイヤーのスタイルなどである。
その割合は、トーナメントの序盤から中盤・終盤によって異なる。
私は、次の基準でプレイしている。
序盤 (トーナメントの残りのプレイヤーが参加人数の三分の一以上)
ハンドの強弱 40% ポジション 40% 状況 20%
中盤 (残りのプレイヤー数 三分の一から五分の一まで)
ハンドの強弱 30% ポジション 40% 状況 30%
終盤 (入賞直前以降)
ハンドの強弱 20% ポジション 20% 状況 60%
トーナメントの序盤では、ハンドの強弱を重視してプレイするが、終盤にいけばいくほどそのときの状況を重視してプレイしている。トーナメントの終盤では、アクションの一つ一つの重要性が増しているし、残っているプレイヤーのチップ量にも差がついており、私を含めた各プレイヤーの思惑がプレイに現れるので、そのときの状況を重視しないと、思わぬところで致命傷を負ったり、スチールなどでチップを稼げるチャンスを逃すことになるからである。
トーナメント参加の準備
トーナメント戦略の第一歩は、参加する前の準備である。もちろん、トーナメント参加前に体調をと整えるということは基本である。しかしここで言いたいのは、参加するトーナメントがどんな構造になっているかを、事前に調べて、シュミレーションすることである。
参加費$10,000で10000点スタートのWSOPメインイベントと、参加費$1000で1500点スタートのレディースイベントとは、おのずから戦略は異なるはずである。
調べることは、
・何人くらい参加するトーナメントで、何位から入賞か
・スタートチップはいくらで、ブラインドストラクチャーはどうなっているか。
・ リバイトーナメントかどうか。リバイトーナメントだとしたら、どのような条件でリバイができるのか。リバイ・アドオンした場合にもらえるチップは何点か。
・ペイアウトストラクチャーはどうなっているのか。特にウイナーテイクオールかどうか。
次に、理想とする展開をシュミレーションすることである。
これは、各ラウンドごとに目標チップ量を決め、それに向かってプレイ方法を変える基準を作ることである。すなわち、各ラウンドで目標点数を上回っていた場合にはどのようにプレイするか。目標点数より下回っていた場合には、どこでギヤを入れ替えて、目標点数に近づけるかの基準を事前に定めておくことである。
事前にシュミレーションしておくことにより、プレイ当日にその状態になった時に決断をくだしやすくなる。もちろん、トーナメントは生き物であり、そのときそのときでかわるので、シュミレーションが絶対というわけではないが、自分の状況をある程度客観的にみられる基準をつくっておくことは重要であると考える。
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ホールデムは、最初に配られたカード2枚でそのゲームに参加するか、参加したとしてコールするのか、レイズするのかを決めなければならない。ノーリミットゲームだとどの程度ベットするかも決めることになる。
その際に、基準になるのは、客観的なハンドランキング(勝てる可能性の高いハンドの順位)である。下記は、ペアーのランキングと参加人数別の勝率である。
勝率70%以上を青、60%以上を黄、50%以上を赤で表示している。
■勝率51%以上のハンド(端数切捨て)
ハンド | ヘッズアップ | 3人テーブル | 4人テーブル | 6人テーブル | 10人テーブル |
AA | 85% | 73% | 63% | 49% | 31% |
KK | 82% | 68% | 58% | 43% | 26% |
79% | 64% | 53% | 37% | 22% | |
JJ | 77% | 61% | 49% | 33% | 19% |
TT | 75% | 57% | 45% | 30% | 17% |
99 | 72% | 53% | 41% | 26% | 15% |
88 | 69% | 49% | 37% | 24% | 14% |
77 | 66% | 46% | 34% | 21% | 13% |
66 | 63% | 43% | 31% | 20% | 13% |
55 | 60% | 40% | 28% | 18% | 12% |
44 | 57% | 36% | 26% | 17% | 12% |
33 | 53% | 33% | 23% | 16% | 12% |
22 | 50% | 30% | 22% | 15% | 12% |
このランキングから下記のことがわかる。
1. 配られたハンドがペアーの場合は、22を除けば、対戦相手が一人のヘッズアップの場合には51%以上の確率で勝てる。
2. QQ以上のペアーでは、対戦相手が3人以上いても51%以上の勝率がある。
3. 99以上のペアーでは、対戦相手が2人以上で51%以上の勝率がある。
4. しかしながら、AAでも対戦相手が5人以上いた場合は、勝率は50%以下である。
従って、ペアーハンドで参加する場合は、できるだけそのゲームの参加人数を減らす必要がある。そのためには、レイズして、できるだけ対戦相手にフォールドしてもらうことが基本になる。対戦相手に降りてもらいたいのだから、レイズ額も通常いわれているビックブラインドの3-4倍よりも多いほうが安心だろう。
他方、フロップ・ターン・リバーでセット(ペアーがスリーカードになること)ができると、それなりのリターンが期待できる。しかしながら、その確率は20%前後である。
前に、トーナメントはサバイバルゲームと述べた。従って、生き死にをかけたオールインをする場合には、原則として60%以上の勝率がほしい。従って、ヘッズアップで55、残り3人でJJ以上のハンドが必要になる。
以上を前提として、私のペアー戦略の基本は下記のとおりである。(あくまで基本であり、ポジション・状況によって変更するので注意が必要)
1. 99以上のペアーは、レイズではいる。
2. 自分よりもポジションの悪いプレイヤーが何人もフォールドするなど、そのゲームの参加者が自分を含め4人以下になりそうな場合は、AA,KKのモンスターハンドはコールで参加し、スロープレイをする場合もある。
3. JJ以上は、前のプレイヤーがレイズしていた場合でも、リレイズで対応する。TT,99はフォールドが原則だが、レイズ額によってはコール。
4. 88以下は、フロップ以降のセットを狙ってコールで参加する。前のプレイヤーがレイズしていた場合はフォールドが原則。レイズ額が小さく、他に2名以上コールしている場合は、コールする場合もある。
5. 生き死にをかけたオールインは、勝率60%以上のハンド(55以上)でおこなう。
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ここでの、アクションは次のとおりである。
チェック | 前のアクティブプレイヤーがベットしていないときに、チェックでき、 あらたなベットはしないが、ゲームには参加することである |
ベット | 前のアクティブプレイヤーが、誰もベットしていないときに、ベットすることである。 ベット額はルールで定められているが、一般的にはリミットゲームではプリフロップの最低額とおなじである。 |
レイズ・リレイズ | プリフロップと同じ。 |
フォールド | プリフロップと同じ。 |
ターン
フロップで各アクティブプレイヤーのベット額がそろったときに、ディーラーはテーブルのセンターにもう一枚カードを開いて置く。これをターンという。
各アクティブプレイヤーは、自分に配られた2枚のカードとテーブルセンターに開かれた4枚のカードから最上の5枚を選択して、アクションする。
たとえば、前の例でターンがQdであった場合、AhJsのプレイヤーは相変わらずJのペアーであるが、Qs9dのプレイヤーは、Qのワンペアーができたのでこの段階では勝っていることになる。
ターンカードが開いた後、各アクティブプレイヤーは、フロップのときと同様に、チェック・ベット・レイズ・リレイズのアクションをおこなう。尚、リミットゲームでは最低ベット額は、プリフロップ・フロップの最低ベット額の2倍が一般的である。
リバー
ターンで各アクティブプレイヤーのベット額がそろったときに、ディーラーはテーブルのセンターにもう一枚カードを開いて置く。これをリバーという。
各アクティブプレイヤーは、自分に配られた2枚のカードとテーブルセンターに開かれた5枚のカードから最上の5枚を選択して、アクションする。
たとえば、前の例でリバーがAdであった場合、AhJsのプレイヤーはAとJのツーペアーになったが、Qs9dのプレイヤーは、Qのワンペアーのままである。従って、この段階で再逆転がおこったことになる。
ターンカードが開いた後、各アクティブプレイヤーは、フロップのときと同様に、チェック・ベット・レイズ・リレイズのアクションをおこなう。
勝負の判定と配当
勝負の判定は次のようである。
1) 一人のプレイヤーを除いて、全員がフォールドした場合。
2)リバーが開いて、すべてのアクティブプレイヤーのベット額がそろったときに、ディーラーボタンの左側からアクティブプレイヤーにプリフロップで配られた2 枚のカードを見せて、共通カードの5枚を加えた7枚で手役の強弱を判定していく。この場合、前のプレイヤーが強いハンドをもっており、自分が勝てないと考えたプレイヤーは、プリフロップで配られたカードを開かずにディーラーに返しても良い。注意しなければならないのは、手役の強弱の判定は、手役を構成するカードが同じ場合には、残ったカードのランクで判定するということである。例えば、あるプレイヤーがAsKdを持っており、他のプレイヤーがAdQhを持っている場合、コミュニティーカードがAdJsTs8h3dだった場合、手役は同じAのワンペアーであるが、残りのカードの最高はKdとQhとランクが違うので、AsKdを持っているプレイヤーの勝ちになる。
配当は、一人を除いて全員がフォールドした場合には残ったプレイヤーに、また最も高い手役を持っているプレイヤーに、そのゲームでベットされたすべてのチップを獲得する。た
ただし、7枚のカードから5枚を選択してでつくれる最高の手役が同じ場合には、そのゲームにベットされたチップを同じ最高の手役をつくったプレイヤーに分けて配当される。端数は最もディーラーボタンの左側に近いアクティブプレイヤー(ポジションの悪いプレイヤー)に配当される。例えば、As7sを持っているプレイヤーとAh5dを持っているプレイヤーが残っており、センターに開かれた共通カードがAdKdQh9h2sであったき、7枚のカードで5枚を使って作れる最高の手役は、両者ともAのワンペアーとKdQh9hである。従ってプリフロップで配られたカードのランクに差があっても引き分けになる場合がある。
配当が終了したら、ディーラーはカードをすべて回収し、シャッフルして、ディーラーボタンを左側(SBの位置)に動かして新たなゲームにはいる。
このように、ホールデムはプリフロップ・フロップ・ターン・リバーの各段階で変化する手役を考えて、相手のハンドを読んでベットしあうゲームである。
次回は、ホールデムのペッティングに関するルールなどについて説明する。
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下記の表は、初手ペアー以外の勝率51%以上のハンドである。(分量が多いので最後に添付した。)
この表からわかるように、ペアー以外の最強ハンドであるAKs(同じ図柄のAK)でも、3人以上参加した場合は、勝率50%以下である。このことは、肝に銘じておかねばならない。
従って、ペアー以外の手がきた場合は、レイズして相手を少なくするか、フォールドして、次のハンドを待つかの決断を求められることになる。
もちろん、フロップ以降の手の進展に期待することもできるが、これは相当なリスクが伴うものと覚悟しなければならない。一般的に、トーナメントではチップ量に余裕があって、ベット金額を捨ててもよいくらいの状況かでないと、この選択は失敗する。
そこで、私は次の基準でプレイしている。前にも述べたが、トーナメントの状況やポジションによって、その判断は流動するので、この基準を守ってプレイするのは実際には少ない。この基準に達したときには、そのゲームに参加するかどうかを考えるという程度である。また、あくまでサバイバルゲームのトーナメントの戦略であるから、ライブゲームとは異なる。ライブゲームでは、一般的にこの基準は低くなる。
1) AK,AQ については、そのゲームのポットをとりたいので、レイズを基本として、前のポジションのプレイヤーがレイズしている場合にもリレイズして参加人数を減らす。
2 )A8, KJ,以上の手では、前のプレイヤーがレイズしていない場合には、レイズして参加する。(ヘッズアップでの勝率60%以上のハンド)
3) AやKがあって、他のカードと同図柄(スーツ)の場合には、コールしてフロップ以降の発展を期待する。(フラッシュを狙う)
4) それ以外の手はフォールドが基本となる。
5) QJやT9など、数字が並んでいるハンドは、前に何人のプレイヤーが参加しているかを確認し、自分のチップ量を基準に参加する。もちろん、76以下は、いくら数字が並んでいても特殊事情がない限りフォールドする。
■勝率51%以上のハンド(端数切捨て)
ハンド | ヘッズアップ | 3人テーブル | 4人テーブル | 6人テーブル | 10人テーブル |
AKs | 67% | 50% | 41% | 31% | 20% |
AQs | 66% | 49% | 39% | 29% | 19% |
AJs | 65% | 48% | 38% | 27% | 18% |
AK | 65% | 48% | 38% | 27% | 17% |
ATs | 64% | 47% | 37% | 26% | 17% |
AQ | 64% | 46% | 36% | 25% | 15% |
KQs | 63% | 47% | 38% | 28% | 18% |
AJ | 63% | 45% | 35% | 24% | 14% |
A9s | 63% | 44% | 34% | 24% | 15% |
KJs | 62% | 45% | 36% | 26% | 17% |
AT | 62% | 44% | 34% | 23% | 13% |
A8s | 62% | 43% | 33% | 23% | 14% |
KTs | 61% | 44% | 35% | 25% | 16% |
KQ | 61% | 44% | 35% | 25% | 15% |
A7s | 61% | 42% | 32% | 22% | 14% |
QJs | 60% | 44% | 35% | 26% | 17% |
KJ | 60% | 43% | 33% | 23% | 13% |
K9s | 60% | 42% | 32% | 23% | 14% |
A6s | 60% | 41% | 31% | 21% | 14% |
A9 | 60% | 41% | 31% | 18% | 11% |
A8 | 60% | 40% | 30% | 19% | 10% |
QTs | 59% | 43% | 34% | 25% | 16% |
KT | 59% | 42% | 32% | 22% | 13% |
A5s | 59% | 41% | 31% | 22% | 14% |
A7 | 59% | 39% | 28% | 18% | 10% |
QJ | 58% | 41% | 32% | 22% | 13% |
A4s | 58% | 40% | 30% | 21% | 14% |
K8s | 58% | 49% | 30% | 21% | 13% |
A3s | 58% | 39% | 30% | 21% | 14% |
K9 | 58% | 39% | 29% | 19% | 10% |
JTs | 57% | 41% | 33% | 24% | 16% |
Q9s | 57% | 40% | 31% | 22% | 14% |
QT | 57% | 40% | 31% | 21% | 12% |
K7s | 57% | 39% | 30% | 20% | 13% |
A2s | 57% | 38% | 29% | 20% | 13% |
A5 | 57% | 38% | 27% | 18% | 10% |
A6 | 57% | 38% | 27% | 17% | 9% |
Q8s | 56% | 38% | 29% | 20% | 13% |
K6s | 56% | 38% | 29% | 20% | 12% |
K8 | 56% | 37% | 27% | 17% | 9% |
J9s | 55% | 39% | 31% | 22% | 14% |
JT | 55% | 39% | 30% | 21% | 13% |
K5s | 55% | 37% | 28% | 19% | 12% |
Q9 | 55% | 37% | 28% | 19% | 10% |
K7 | 55% | 36% | 26% | 16% | 9% |
A3 | 55% | 35% | 26% | 16% | 9% |
T9s | 54% | 38% | 31% | 22% | 14% |
J8s | 54% | 37% | 29% | 20% | 13% |
K4s | 54% | 36% | 27% | 19% | 12% |
Q7s | 54% | 36% | 27% | 19% | 12% |
A2 | 54% | 35% | 25% | 16% | 9% |
K6 | 54% | 35% | 25% | 16% | 8% |
J9 | 53% | 36% | 27% | 18% | 10% |
Q6s | 53% | 35% | 27% | 18% | 11% |
K3s | 53% | 35% | 26% | 18% | 12% |
Q8 | 53% | 35% | 26% | 16% | 9% |
K5 | 53% | 34% | 24% | 15% | 8% |
T8s | 52% | 36% | 29% | 20% | 13% |
J7s | 52% | 35% | 27% | 18% | 12% |
K2s | 52% | 34% | 26% | 18% | 11% |
Q5s | 52% | 34% | 26% | 18% | 11% |
K4 | 52% | 32% | 23% | 14% | 8% |
98s | 51% | 36% | 28% | 20% | 13% |
T9 | 51% | 35% | 27% | 17% | 11% |
T7s | 51% | 34% | 27% | 19% | 12% |
J8 | 51% | 34% | 25% | 16% | 9% |
Q4s | 51% | 33% | 25% | 17% | 11% |
Q7 | 51% | 33% | 24% | 15% | 8% |
Q6 | 51% | 32% | 23% | 14% | 7% |
K3 | 51% | s31% | 22% | 14% | 7% |
<<ポーカーを楽しもう!INDEX
BSを理解してしっかり覚えたつもりでも、いざカジノで実践してみると、BS通りのプレイを阻む因子が存在することに気がつくことでしょう。それは大きく分けてふたつ存在するのですが、正しく認識しておくことで対処することが可能です。
ひとつの因子は同じテーブルに同席している他のプレイヤーの存在です。リアルマネーが飛び交う現実のカジノでは、同席しているすべてのプレイヤーがBS通りにプレイしているとは限りません。いや、むしろBS通りにプレイしていないという表現が適切かもしれません。
カジノでは色々なタイプのプレイヤーと同席することになりますが、厄介なのが結果論で他人のプレイの正否を語るプレイヤーです。このような”結果論プレイヤー”から、「お前がヒットしたから、ディーラーのハンドが21になっちまったじゃないか!」などと勝手な言い分を突きつけられることがあるかもしれません。
ときには、BSとは異なる独自理論の”ベテラン・プレイヤー(自称)”が、「ああ、そこはヒットしちゃダメだよ。ステイが正解なんだから」などと、無責任なアドバイスをしてくることもあるかもしれません。また、ここまで露骨でなくても、他人のプレイに対して首を振ったり、舌打ちするプレイヤーなどは珍しくありません。
不特定多数が同席するBJテーブルですから、このようなプレイヤーの存在はどうしても避けられません。カジノの勝敗はすべて自己責任です。彼らのアドバイスに流され、その結果負けたとしても、責任をとってはもらえません。
彼らの言動を真に受けずに軽く受け流し、BS通りのプレイを貫こうとする強い意志が必要です。「自分はBS通り最善の選択をしているんだ」と何度も自分に言い聞かせ、メンタルが揺らがないよう常に気を配りましょう。ところどころBSを外すようになってしまったら危険な兆候です。そんなときはさっさと退席することを勧めます。
もうひとつの因子は自分自身です。たとえば、ディーラーのアップカード7に対して自分の合計数が16のとき、弱気になってステイしてしまったことはありませんか?大きなベットになればなるほどメンタルは揺れ易いものですが、BSが「ヒット」なら、ベット額に関係なくヒットする強い意志が持ってください。
他に弱気になり易い状況を挙げるとすれば、ディーラーのアップカード10に対しての88でしょうか。そのルールのBSが「スプリット」であれば、躊躇なくスプリットしてください。
付け加えると、ディーラーのフェイスアップカードAに対してはインシュアランスもイーブンマネーも無用です。(BSにおいて、インシュアランスとイーブンマネーはプレイヤーに不利な選択となります)
ブラックジャックというゲームはそのルールでプレイヤーに選択権を与えていますが、それがプレイヤーを惑わす要因になっていることを理解しましょう。バカラにカードを引く条件が決められているのと同じように、ブラックジャックはBSに基づいてカードを引く条件が決まっているゲームだと解釈すれば良いのです。BS以外の選択肢はないと心に決めることで、BSをブレずに淡々と貫けるようになります。
今回はBS通りのプレイを阻むふたつの要因について触れましたが、本質的にはどちらもプレイヤー自身のメンタルの問題だと言えます。どんな状況でもBSを貫き通せるような強い精神力があれば何より素晴らしいことですが、そんなひとはごく稀な存在で、本来、ひとは誰でも精神的に脆いものだと理解してください。脆いからこそ、BSの部分には迷う余地を微塵も残すべきではないのです。
このようにBS遵守を勧めるのは、メンタルを乱す要因を少しでも排除しておきたいからに他なりません。矛盾しているように感じるかもしれませんが、「BSは理論上最善の選択だから」というのは後付けの理由に過ぎず、そこに選択の余地を一切作らないことで、メンタル・コントロールをシンプルにすることが目的なのです。
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BJはBS通りにプレイすれば、ハウス・エッジが非常に小さなゲームと言われていますが、それはあくまでロングランで収束していく期待値にしか過ぎません。これを勘違いして「BJは負けにくいゲーム」と捉えてしまうのは危険です。
BJは進行スピードが早く、短時間で数多くのゲーム数を消化します。当然のことながら勝敗結果には波があり、ごく普通に起こりうる標準偏差(ゲーム勝敗数の上下変動の波)の範囲内ですら、プレイヤーの負けが確定してしまう場合があります。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、ハウス・エッジが小さいことと数時間程度のプレイでの勝敗にはあまり大きな因果関係はありません。この場合、もっとも大きく関与しているのは、プレイヤーが持つバンクロールの大きさです。
結論を先に述べますが、BJには標準偏差に耐えられる適正なバンクロールが不可欠です。言うまでもないことですが、バンクロールをすべて失った時点で、否応無しにプレイヤーの負けが確定してしまうからです。適正値を大幅に下回るバンクロールでプレイしている方を多く見かけますが、やはり負けるべくして負けているのが現実のようです。
標準バンクロール
6デッキ(1デッキ=ジョーカーを除く52枚のトランプ)の一般的なBJルールで2時間程度のプレイを想定した場合、いくらのバンクロールをバイインすべきなのか考えてみましょう。たとえば毎回1単位ずつベットしたとすると、前述の条件では±30単位程度の範囲内で上下変動することが多いようです。また、BJはスプリットやダブルダウンなどのオプションが存在するため、これらを考慮した現実的な値は少なくとも40単位と考える必要があります。
たとえば毎回100ドルをベットするなら、以下のような計算で標準バンクロールが求められます。
1回のベット100ドル×上下変動40単位=標準バンクロール4,000ドル
ただし、毎回全く同じベットでプレイし続けるプレイヤーはほとんどいないでしょう。そこで実際のプレイでは、「1回のベット」の部分に「平均ベット(自分がベットする平均額)」を当てはめて考える必要があります。たとえばミニマム25ドルのテーブルで25ドルから300ドルのベット・スプレッド(ベットの上下幅)でプレイする場合、実測値とは誤差があるでしょうが、平均ベットを概ね150ドルと見なして考えます。これを同様に計算すれば、以下のような標準バンクロールとなります。
平均ベット150ドル×上下変動40単位=標準バンクロール6,000ドル
プレイを始める際には、少なくともこのような考え方で必要な標準バンクロールを用意しておかなければ、ごく普通に起こりうる標準偏差の範囲内でパンク、すなわちバンクロールをすべて失って負けが確定してしまうのです。
標準バンクロールを下回るバイインは、勝ってテーブルを離れる可能性よりも、パンクしてテーブルを離れる可能性が大幅に高くなります。BJをプレイしていると様々なプレイヤーを見かけますが、大半のプレイヤーは標準バンクロールを大きく下回るバイインをしています。そしてやはり、そのほとんどが手持ちのバンクロールをすべて失ってテーブルを離れているのが現実です。たとえば、ミニマム25ドルのテーブルで200ドルをバイインするプレイヤーは、残念ながらその時点で負けが決まっていると言って過言ではありません。50ドル勝った時点で即座にテーブルを離れる決意なら別ですが、時間が長いか短いかの違いだけで、ほとんどの場合は200ドルを失ってテーブルを離れることになります。
最初にバイインしたバンクロールが無くなったら、リバイ(追加バイイン)すれば良いかと言えば、実はそう単純なものでもありません。リアルマネーを賭けているBJにおいてリバイという行為は、「負けた」という負の意識を強烈に植え付けてしまうことになります。プレイしているのは感情を持った「ひと」なのです。メンタル・コントロールを乱す因子は可能な限り取り除いておかないと、プレイヤーが自分自身を窮地に追い込んでしまうことになりかねません。
ハウスエッジが小さいはずのブラックジャックで、多くのプレイヤーが理論値を大きく上回るほど負けてしまう原因がここにあるのです。
自分の標準バンクロールを理解する
現実のBJテーブルを見ていると、ミニマム25ドルのテーブルで毎回25ドルをベットし続けるプレイヤーはごく稀です。最初は25ドルでプレイしていても、それがやがて50ドルや75ドルになり、ときには100ドルを超すベットをしてしまうのが一般的なプレイヤーです。このように平均ベットの上昇に応じて、もっと多くの標準バンクロールが必要になることを忘れないようにしましょう。
標準バンクロール≧上下変動40単位×平均ベット
ご自身の今までのプレイを思い出し、平均ベットがどれくらいなのかを考えてみてください。そうすれば、本当に必要な標準バンクロールがお分かりになると思います。
「随分大きな標準バンクロールだな」と思った方は、本当はもっと小さなミニマムのBJテーブルで、平均ベットを必要なだけ小さくしてプレイすべきです。カジノにはプレイヤーの平均ベットを知らず知らずのうちに上げてしまう目に見えない仕掛けが施されています。カジノで楽しくBJをプレイし続けるために、是非一度、自分の平均ベットに目を向けてください。そして自分の標準バンクロールを冷静に分析し、今後のプレイに役立ててもらえたら何よりです。
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ラスベガスでの想い出
199X年、私は彼女と二人でラスベガスを訪れた。二人で初めての海外旅行である。ハードな仕事をこなし、上司(ハゲ)に怒られる毎日に耐えることができたのも、この旅行を楽しみにしていたからだ。
ショッピングだのグルメだの、色々と楽しい計画も立てて和気藹々な私たち。しかし、到着するやいなやVIPルームに立ち寄ったことで事態は一変する。「まだ到着したばかりなんだから」と諌める彼女に、ついつい「1000ドルだけ」と言い訳してバカラ卓に座ったものの、ものの10分で資金は尽き、さらに1000ドルの「おかわり」をした。私の対面にヒゲ面のアメリカ人が同席し、仲間4人を引き連れ酒を飲みながら打っていた。この集団の質(たち)が悪かった。他人が張ると文句を言いながら逆を張り、勝つと、そらみたことかと話しかけ、負けるとテメーこのやろう的な態度で迫る。無視して勝負に集中しようと思うのだが、なかなかベットしないので気になってしょうがない。ディーラーも苦笑気味だ。一緒に打っていた客は一人減り、二人減り……最後は、この集団と私達だけになってしまった。
予想されたことではあるが、ヒゲ面は私の逆ばかりを張ってくる。そして……ヒゲ面が勝つ。流れは確実に私に悪くなっている。私は熱くなり、「おかわり」を繰り返し、ベットの額が大きくなる。そして負ける。意見が合うと、ヒゲ面は私より少ない額をベットし、「ノーモアベット」の合図寸前に私より多い額をチップに乗せる。だから私にはカードは見ることができなくなる。いくらなんでも人を馬鹿にするのも程がある! ついに私は資金のほとんど全てをプレイヤーにベットした。ヒゲ面は当然の如く、バンカーにベット。ところが、その額なんと100ドル。ミニマムである。ニヤニヤ笑いながら「キル ユー ジャップ!」と私に言った。私に配られた2枚のカードは、絵札と3サイド。これは強い。ゆっくりめくり上げると、真ん中にマークが……一つ……そして二つ! ナチュラルエイトである。これは勝ったも同然だった。彼女に微笑みかける。「俺は負けないよ」と。しかもディーラーが彼らに配った2枚のカードのうちの一枚が捲れてしまい、その一枚は絵札だった。彼らは、ディーラーに悪態をつきながらももう一枚をスクイーズ。そして「ジーザス」と叫んだ。……んどうしたか? 早く見せてよ。どうせ負けてるんでしょ。ふふふ。私は早く配当を手にしたくて気がはやる。
ヒゲ面は絞り終えた。そして私を見て、手をピストルの形にして「BANG!」と言った。ヒゲ面が投げたカードは9。ナチュラルナイン。彼らは大笑い。私達は資金のほとんど全てを小一時間で失った。悔しくて、何か一言言ってやろうと「リ、リメンバー パールハーバー!」といってやった。日本語の「覚えてろよ!」と言いたかったのだが・・・ちょっと間があって更なる大笑い。ディーラーにまで笑われ、彼女は私を「バカ」と面罵し、一人立ち去ってしまった。私が英会話学校に通う2ヶ月前の話だ。
バカラ暗黙のルール
以上、相手の挑発に乗り、熱くなってしまったがゆえに負けてしまった私の体験談である。質(たち)の悪い客とのプレイはぜひとも避けたいものだが、己の態度にも常に気を付けたい。バカラの世界には「やってはいけない暗黙のルール」がある、と私は思っている。なぜ、ルールなのに「思っている」なのかというと、そんなのはどこにも書いてもいないし、決められている訳でもないからだ。しかし、それは他人様にぶつかってしまったら「ごめんなさい」と謝りを入れるようなもので、普通に考えれば至極当然な事なのだがバカラ卓では熱くなって、このルールが破られる。よくあるのは「呼び込み」だ。相手に勝ちたいからと言って、「コン、コン!」と叫んだり、「アボジ!」と叫んだりするような行為。対ハウスのようなワンサイドの勝負なら構わないが、相手がいる場合はマズイ。自分がタイを欲しているからといって、タイになるカードを叫ぶのも好ましくない。
また、カードを必要以上に長く絞ったり、負けたからといって破いたりするのもマナーが悪い。また絞った後にディーラーにカードを投げつけたりする輩もたまに見かける。ディーラーだって人間である。カードが悪いのは自分のせいではないのにこんな悪態をつかれては腹も立つだろう。バカラは人間性が出る。時には卓上で闘争のようになることもある。そんな場であっても、どんなに負けがこんでも楽しい博打を打っていられる……そんな人に私はなりたい。
ラッキーな私
いつも負けてばかりの私だが、時には思いもかけない大勝利(私のレベルで)したりもする。
2008年11月のラスベガスのことだ。
リゾカジ.comのオフ会にて40名のメンバーと5日間のラスベガス滞在をした。
幹事役の仕事もあり、実際にカジノで勝負できたのは最終日となった。
しかし、勢い勇んで勝負したブラックジャックで大敗を喫し、資金はわずかに5ドルになってしまった。これでは勝負にならない。せめてコーラーを持ってきたカクテルウエイトレスにチップをあげようとこの5ドルを1ドルチップにカラーチェンジした。
しばらく他のメンバーの勝負を寂しく眺めて、ゲームがシャッフルの間に部屋に戻ろうと残ったチップを手にした瞬間・・何か違和感が。そう、手の中のチップの大きさがヘンなのだ。よくよく見てみると、1ドルに混じって500ドルチップが一枚まぎれている。
考えてみても理由がよく分からない。酔っていたわけでもないし、500ドルを持っていた事を忘れるとは思えない。よく考えてみると、このカジノの1ドルチップと500ドルチップは大きさは違うが似たような色をしている。ディーラーが間違えたのかもしれない。
しかし、数十分前にカラーチェンジした事を今更言ってもカジノ側も面倒だろうし、第一ディーラーも既に交代してしまっている。カジノ側はディーラーの不正には非常に厳しい。
ということから、私は「こいつはラッキー」にすることにした。
この500ドルを握りしめてVIPバカラルームへ。ミニマム100ドルのテーブルに座った。気持ちよく張って、負けたらさっさと荷造りをしようと考えて。
20ハンドほどの序盤が終わったくらいのテーブルだったが、罫線はプレイヤーが少なく、バンカーが比較的「落ちている」展開。
200ドルをバンカーに張る。勝つ。
また200ドルをバンカーに。勝つ・・・・
この調子で、たまにプレイヤーになってもすぐにバンカーが勝つという展開だ。
罫線はバンカーばかりで真っ黒。同じテーブルのメンバーも「おいしい罫線だなぁ」と話し合っている。
チップが2000ドルになった時点で、1回の勝負を500ドルにベットアップ!!
これがしっかり4連勝。チップが4000ドル近くに増える。
これはチャンスだと思った。ここでベットを下げたら、後からきっと「ひよってしまった・・」と後悔するような罫線になる気がした。
バンカーに2000ドルを置く。資金の二分の一である。
これを6対7の俗に言う「チャーシュー」で勝利する。
ひよってはだめだ。と言い聞かせる。
また2000ドルを置く。
勝つ!
そしてまた2000ドルを・・・
この調子で6連勝!手元のチップはコミッションを払っても約15000ドルになった。
2000ドルにベットアップしてからはほとんど全てを私がスクイーズしたのだが、リャンピン(ツーサイド)にはリャンピンが、セイピン(フォーサイド)にはセイピンが、スリーサイドにはAか2が付くという最高の展開だった。
帰国の時間が近いということもあり、この時点で終了したが、信じられない大勝利だった。
ディーラーがミスをしたのか、私が忘れていたのか分らないが、ひょんなことから500ドルを手にし、「一度はなくなった資金だ!」という無茶の許される展開だったのも良かった。気持ちと思考とタイミングが全てプラスに働いた一時間の出来事だった。
日本の友人へのお土産をトランプからマグカップに変更して帰った。
気持ちの良い凱旋帰国となった。
勝利の条件
バカラで勝利するには条件があると思っている。
それが「気持ちと思考とタイミング」だ。
バカラを長く打っていると、自然と自分のクセが身についてしまう。ツラばかり追ってしまったり、バンカーにしか張らなかったり。しかし、毎回自分の思うような罫線が出るワケではないから、その罫線に合わせたベットコントロールが要求される。
自分が思う「出て欲しい目」と「実際に出る目」はたいがいズレる。
だからこそ、大きく勝負するタイミングを間違えたら大怪我のもとである。
また、自分が大きく勝負した後に、また大きく勝負するのも勇気がいる。
せっかく苦労して取った配当をまた手放すことになるのは怖い。
しかし、ゲームが全て終了した時に「ああ、あの時ベットを下げたのが敗因だなぁ」と反省することがいかに多いか。
私は、勝利した時は最初に決めた「張り」を貫くことにしている。負けたわけではないのだから。ひよっては負けだ!
5ドルしか持っていなかった私が15000ドルになった。3000倍である。
もちろん500ドルの「こいつはラッキー」があったからだが、実際に100ドル紙幣を150枚手に入れた。勝負を諦めた後に起こったのだ。
やっぱりバカラは面白い。
初手の選択に最も影響を与えるのはポジションである。ポジションとはディーラーボタンから何番目にいるかということである。
ホールデム系のポーカーでは、ディーラーボタンから近い順に、ベットするか、コールするか、レイズするか判断しなければならない。ポジションが後であればあるほど、他のプレイヤーの判断を待ってから自分のプレイを選択できる。ポジションが前の場合、後ろのプレイヤーは全員そのゲームに参加するものとして判断するのが前提となる。
従って、同じハンドであっても、前のプレイヤーがフォールドしてくれた場合は、客観的な勝利確率はあがる。
前に述べたように、初手の最強ハンドであるAAでも6人以上参加すると勝率は50%を割る。同じAAでも、前のプレイヤーが全員フォールドしてくれた場合には、ディーラーボタンのプレイヤーは、残りのプレイヤーが強制ベットさせられているスモールブラインド、ビックブラインドの二人しかいないので、客観的な勝利確率は73%になるわけである。
ポジションを語るときに、ディーラーボタンの位置から、テーブルの人数を3で割って、前の3分の1をアーリーポジション、中の3分の1をミドルポジション、後ろ3分の1をレイトポジションというように分けて、戦略を考えるのが一般的である。
10人テーブルだと、前4人、中3人、後3人という感じであろうか。
多くのポーカー戦略書では、このポジションにより参加する初手のランクの基準を設定している。アーリーポジションではAJ以上、ミドルポジションではA8以上、レイトポジションではA一枚あれば参加するなどである。
この考えかたが、合理的かどうかを検証する前に、各ポジションの特徴について考えてみよう。
スモールブラインド(SB)
ディーラーボタンの左隣で、ビックブラインドの半額から3分の2程度強制ベットさせられている。その見返りとして、初手の判断はボタンのプレイヤーの後に行える。しかしながら、フロップ以降は一番最初に判断しなければならず、最も悪い位置といえるだろう。
プリフロップで、コールで回ってきた場合には、ビックブラインドまでの差額を払うだけでフロップを見ることができ、リスクが小さいともいえるが、トーナメントの終盤ではその差額が次のプレイに大きな影響を与えることも考えねばならない。
ビッグブラインド(BB)
そのゲームの最低ベット額を強制ベットさせられているプレイヤーである。そのかわり、初手の判断は最後に行うことができる。その結果、自分の判断がまわってくる前に他のプレイヤーがフォールドして、SB分のチップを獲得できる場合もある。また、コールで回ってきた場合は、どんなハンドでもそのゲームに参加できるので、フロップしだいでは大量のチップを獲得できることがある。例えば25oなどをもって、フロップにA34とでたばあいである。このような場合を俗にブラインドスペシャルという。
アンダーザガン(UTG)
プリフロップで一番最初に判断しなければならないポジションである。客観的な勝利確率を考える場合、常にそのテーブルのプレイヤー全員が参加するものとして考えて判断しなければならない。従って、よほどハンドがよくなければ参加できない。最強ハンドのAAでも31%の勝利確率しかないと考えてプレイすることになる。アンダーザガンとは、他人の銃の下にさらされている危険な場所であるという意味なのだ。
他方、他のプレイヤーはこのような不利なポジションであるUTGがゲームに参加してきた場合は、よほどいい手があると考えるのが普通なので、ゲームに参加しても多くのプレイヤーがフォールドし、危険をおかして参加しても見返りが少ない場合も多い。
ディーラーボタン
最も良いポジションである。初手の判断でも後ろは強制ベットさせられているSB・BBしかいないし、フロップ後はいつも最後に判断することができるからである。従って、プレイヤーによっては、コールで回ってきた場合はどんなハンドでもレイズするプレイヤーがいる。(ポジションベットという)
ボタン前
ディーラーボタンの右隣でレイトポジションである。私はこのポジションが最もスチールしやすいポジションだと思っている。スチールとは、レイズしてSB・BBをフォールドさせそのチップを獲得することであるが、トーナメントでスチールは重要である。スチールが成功すれば、次の一周をチップを減らさずにみれるからである。このスチールについては後述する。
ボタンが最もいいポジションであることは、誰でもわかっている。従って、いわゆるポジションベットが多くなされる。逆に考えると、SB・BBの立場では、ボタンだけがレイズした場合、ポジションベットしてきている可能性が高いと判断し、それほど強いハンドでなくてもコールする場合も多い。ところが、ボタン前のレイズについては、まだボタンがいる分、良いハンドをもってのレイズとして考え、コールできない場合も多いからである。
私の戦略
以上のように、ポジションはホールデム系のポーカーにとって最も考慮しなければならない要素である。これにサバイバルゲームであるトーナメントの特性を考慮すると、単にアーリー・ミドル・レイトと単純に三分割し、そのポジションに応じて参加するハンデの基準を決めるという戦略をとることはできないと思う。
私は、ブラインド・レイト(ボタン・ボタン前)・その他という分け方で考えている。
これは、ブラインドを除いたアーリー・ミドルポジションは、まだ後ろに4人以上残っており、全員が参加することを前提に考えると、客観的な勝利確率はAAでも50%、他のハンドでは30%程度にしか過ぎないからである。
では、どのようにするのか。
ブラインド(SB・BB)
私は、ブラインドは税金と考えるようにしている。従って、前のプレイヤーがレイズしている場合は、フォールドを前提とし、あまり無理をしない。コールで回ってきたらラッキーという程度である。ただ、フラッシュなどの可能性のあるときなどは、レイズ額によっては参加する場合もある。
ボタン・ボタン前
これらは有利なポジションである。従って、参加を前提に考える。また、前のプレイヤーが参加していないときは、積極的に(ハンドの強弱にかかわらず)スチールを狙いに行く場合も多い。
その他のポジション
その他のポジションで参加するのは危険である。また、参加した以上ポットを取りに行かねばならない。そうであれば、勝利確率の高いハンド(少なくてもA8以上)で参加し、かつ後ろのプレイヤーにフォールドしてもらうために、レイズすることになる。従って、負けたときの痛手も大きい。また、フロップ後の対応も難しいので、このポジションから参加する場合は、持ちチップ量が多いとか、ここで勝負しなければ時機を逸するとか、他の状況が主な理由になる。
よく、このポジションからAAやKKで、スロープレイと称してコールするプレイヤーが多い。私も、以前はよくやったと思う。しかしながら、うしろのプレイヤーにバタバタとコールされ、痛い目を負ったことが多い。従って、このポジションからスロープレイすることはほとんどない。(ということは、他のポジションの場合はスロープレイする場合もあるということなのだが)
<<ポーカーを楽しもう!INDEX
いままで述べてきたハンドの強弱やポジションは、初手の選択の基本である。現実のトーナメントでは、これにさまざまな状況が加算されそのゲームに参加するかどうかをきめることになる。私にとって最も重要なのはこの「状況」である。
アーリーポジションで配られたハンドがAAであったとしよう。
この場合のアクションも状況によって異なる。一般的にはBBの3-4倍レイズするのがよいプレイだろう。コールで入るスロープレイも考えられるが、バタバタと後ろのプレイヤーにコールされると面倒である。
しかしながら、400人参加の参加費$10000の高額トーナメントで、後5人飛べば入賞が確定し、自分のチップ量はアベレージチップ量の半分程度であった場合はどうであろうか。入賞すれば$10000以上の賞金を手にできる。私の資金量では$10000は大きい。また、この段階でアベレージの半分を持っていれば、普通は入賞確実といえるだろう。私は、フォールドして確実に入賞をねらう。
では、同じ状況だが、参加費が$500だった場合はどうだろう。
参加費$500はそれなりに大きい。しかしながら、仮に負けてもしょうがないとあきらめきれる金額である。私はオールインレイズするだろう。この段階でアベレージの半分程度持っているならば、レイズ額はBBの10倍くらいだとおもう。この段階では、他のプレイヤーも入賞目指して慎重にプレイしているのでこのオールインにコールできるのは、チップリーダークラスか持ちチップ量が少なく勝負をかけざるを得ないプレイヤーであろう。従って、スチールが成功するかヘッズアップになると思われる。スチールすれば、入賞がより確実になってくる。ヘッズアップになれば勝率は85%以上であり納得できる。また、勝てば、アベレージチップ量を持つことができ、より高額な賞金を狙える。
最後に参加費が$100だった場合はどうであろう。$100はゲームを楽しんだ費用と見ればそれほど問題となる金額ではない。そうであれば、入賞を確定するより持ちチップ量を増やすことが優先される。従って、私は通常の3-4倍レイズか、他のプレイヤーが慎重になっている点を考慮してコールするものが少ないと判断して、コールして他のプレイヤーのレイズを期待するかもしれない。
このように、同じハンド、同じポジションであっても、プレイの選択は異なる。
それでは、どのような点を「状況」を決める基準とするのであろうか。
第一に自分の順位、持ちチップ量である。
そのトーナメントでどの程度の順位にいるかをある程度知っておく必要がある。一般的にそのトーナメントのアベレージチップ量を持っていると上位 40-45%にいるはずである。なぜならチップリーダークラスはアベレージの数倍のチップを持っているのが普通だからである。アベレージチップ量を計算するためには、そのトーナメントの総チップ量を把握しなければならない。一般的なトーナメントでは、第一回の休憩時にトーナメント参加人数が何人であるか発表される。リバイトーナメントであれば、リバイできるラウンドが終わった休憩後に発表される。そこで、その時点でプレイしている人数で割ってアベレージチップ数を算出するのである。私は、海外のトーナメント会場に電卓を必ず持っていく。
私は、自分の持ちチップ量が
・ アベレージの2倍以上ある場合
・ アベレージ以上ある場合
・ アベレージ以下ではあるが、70%以上ある場合
・ アベレージの30-70%程度である場合
・ アベレージの半分以下である場合
に分けてプレイスタイルを変えている。
第二に入賞点のアベレージチップ量はいくらかである。
最低入賞順位のアベレージチップ量を持っているとほとんど何もしなくても入賞できる。また、アベレージの半分持っていると、最低入賞は十分狙える。従って、私はチップ獲得の第一目標をアベレージチップ量の半分にしている。トーナメントの序・中盤ではこのアベレージチップ量の半分をどのように獲得するかを考えてプレイしているのである。
第三に、そのテーブルの雰囲気である。すなわち、ルーズなプレイスタイルのプレイヤーが多いのか、タイトなプレイヤーが多いのか。ルーズなテーブルであれば、参加するハンドを絞って、レイズ額を多くアグレッシブルにプレイするし、固いテーブルであれば、参加するハンドの基準をさげて、レイズではいり、スチールをねらう。
第四に、現在のトーナメントの状況である。
トーナメントは入賞しなければリターンはない。従って、その時点でのトーナメントの状況を把握するのは重要である。序盤なのか。入賞直前なのか。入賞は決まっているが、高額賞金を獲得できるファイナルテーブルまでは相当な人数が残っているのか。ミニバブル(賞金ゾーンの区切り順位の次)なのかどうかなどである。
私が2005年WSOPで世界チャンピオンのレイマー氏に飛ばされたとき、ショートスタックでJJがきた。ちょうど111人残っているときだった。111位では、賞金は$56000、110位だと$65000である。自分の番になって三分くらい考えた。まだ、持ちチップ量はブラインドの4倍程度あったので確実に$65000を獲得するためにフォールドも考えたのである。しかし、これ以上のハンドがくることは少ないだろう。その時、他のテーブルでオールインコールのアナウンスが聞こえた。これで、私が勝つか他のテーブルのプレイヤーが飛べばよくなった。確率は他のプレイヤーが勝って、私が負ける場合だけがミニバブルになる。レイマー氏には勝っていると思っていたので、おもむろにオールインレイズした。結果的にレイマー氏の86oにストレートを引かれて負けたのは残念であったが。
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「状況」判断基準の続きである。
状況を判断する基準の第5は、対戦プレイヤーの心理状態である。
ライブテーブルでポーカーをプレイする場合に、対戦相手の仕草や目の位置などを観察して、そのクセを見破れば有利に働く。その防止策としてポーカーフェイスでプレイしろとか、目の動きを見られないためにサングラスをかけろとかいわれる。
まさに、そのとおりであるが、短期間同じテーブルでプレイするトーナメントの間で他のプレイヤーのクセを発見するのは難しい。たしかに、どんな人間にもクセはあると思う。日本がほこる盗塁王福本氏は投手の投球動作のクセをみつけて盗塁のタイミングを計っていたとのことである。しかしながら、これは毎年何度も対戦するから有効なのであって、旅行者である日本人がトーナメントに参加する場合にはほとんど意味をなさないと思う。
それよりも、ある程度客観的に対戦プレイヤーの心理状態をはかることは可能である。
なぜなら、トーナメントに参加する目的はすべてのプレイヤーが同じであり、スタートチップも同じ(バンクロールの差はキャッシュゲームほどないという意味)なので、ある程度のスキルをもったプレイヤーにおいてそれほど差がないからである。
従って、あるプレイヤーのチップ量を持ち、そのポジションならなにをしたいかを、相手の立場で考えてみればよいのである。自分だったらこうするだろうということを常に考えてプレイすればよいのである。
だれでも、入賞したいし、チップを増やしたい。また、どうしてもスチールしたいときもある。あるいは、ここで無理するよりは、スチールされてもじっくりよいハンドが来るのを待ちたいときもある。自分がしたいことは、他人もしたいのである。
もちろん、極端にバンクロールが大きく、トーナメントに勝つという名誉だけがほしいプレイヤーもいるし、初級者でトーナメントのイロハもわからないプレイヤーもいる。
また、他人をはめたり、ブラフを成功させたりするのが大好きなプレイヤーもいる。しかしながら、ある程度の参加料を支払ってトーナメントに参加する大多数のプレイヤーは、ほとんど同じことを考えている。従って、自分がされたらいやだと思うプレイをすればよいのである。
もちろん、個々のプレイヤーのプレイスタイルは観察しておくほうがよい。そして、相手の立場だったらあなたがプレイするだろう方法を、その相手のプレイヤーのスタイルで若干修正すればよいのである。
では、どのように相手のプレイを観察するか具体的に考えてみよう。
私は、下記の基準で判断している。
●そのプレイヤーがBBのとき、どのようにプレイするか。
他のプレイヤーのレイズにどの程度コールするか。
●AA・KKなどのモンスターハンドがはいったときに、レイズするのか。それともスロープレイするのか
●同スーツや数字が並んでいるときに、どの程度のカードランクでコールするか。
●AXやKXのハンドで、どの程度参加するか。(特に、A8,KTなどの中途半端なハンドでどのようなプレイをするか)
●平均的なレイズ額はどの程度か。BBの何倍か。平均的なレイズ額より高いベットをしてきたときはどのようなハンドを持っていたか。また、どのようなポジションでそのプレイをしているか
●自分がレイズした後に、リレイズされた場合、フォールドすることがあるか。
なぜこのような基準で判断しているかについては、各自考えてほしい。
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この講座(コラム?)をはじめて半年近く経過した。
ポーカーを始めたばかりの人や、中級者の方々に参考になっていればうれしい限りである。
ポーカーは確率論を中心とする理論だけでは上達しない。実践が最も重要である。
今年の年末・年始は長期休暇がとりやすい。読者の方も海外に出かけられる方も多いのではないだろうか。欧米はもちろん、オーストラリアを中心としたアジア・太平洋地区でもポーカールームを備えたカジノが増えてきている。この機会に海外のポーカールームで実践してみてほしい。
海外のトーナメントに参加することは簡単だ。ポーカールームの受付に行き、トーナメントに参加したいとスタッフに述べれば、参加方法を丁寧に教えてくれるはずだ。その指示どおりにすれば、エントリーできテーブル・シート番号が記載された紙(参加費の領収書を兼ねる)をくれる。あとは、トーナメント開始時間前にそのテーブルにいき、ディーラーにその紙を見せれば、チップをくれ、時間になればトーナメントディレクターの開始の合図によりゲームがスタートする。
ここで、気をつけてほしいのは、ルールとマナーである。
ルールはトーナメント開始前に印刷されたものをもらえるはずだ。仮に用意されてなくても、細かなことは別として、ほとんど世界共通なので特に気にする必要はないだろう。
ただ、テーブル内では英語またはカジノの存在するローカル言語のみ許されるということを肝に銘じておこう。仮に日本人同士が同じテーブルにいても、英語で会話するようにしたい。ルール上は、アクティブプレイヤー(フォールドせずにそのゲームに参加しているプレイヤー)でなければ、母国語で会話してもよい場合が多い。しかしながら、できるだけポーカーテーブルについている間は、英語でコミュニケーションをはかるようにしたい。人間、場が熱くなったりして、緊張したばあい、なれていないと母国語がでてしまう。仮に自分はアクティブプレイヤーでなくても、友人がアクティブプレイヤーだった場合、アドバイスととられ、友人のハンドはデッドハンドになり、かつ両者に退場などの罰則が科せられることになりかねない。ディーラーや他のプレイヤーにとって、日本語で話した内容はわからず、疑わしきは罰するのが原則である。
この点は、他のプレイヤーを応援する場合も同じである。応援されているプレイヤーがアドバイスを受けたとして退場させられても文句は言えない。
応援するときは、トーナメントエリアの外から応援し、プレイヤーが席を立ったときに会話しよう。間違っても、テーブルで友人のプレイヤー以外のプレイヤーの後ろに立って日本語で会話してはならない。プレイに関係ないことをしゃべっても、応援者の前にいるプレイヤーのハンドを教えているとしか見られないのである。読者の皆さんは十分理解していただけるだろうが、対戦相手がどのようなポジション・ハンドでそのゲームに参加し、またはフォールドするかは、トーナメントでは重要な情報である。従って、それを教える行為は厳罰に処せられる。応援者はポーカールームからの退場。応援されたほうは、トーナメントから追い出されることもありうる。そして、日本語で会話することは、これらの行為をしているとみられてもやむを得ない。
また、一般的な話だが、ポーカーテーブルではマナーを守ろう。マナーとは、プレイ以外で他のプレイヤーの嫌がることをしないということである。ディーラーに悪態をつくなども含まれる。マナーはルールとは違い、マナー違反が即刻退場になることはない。しかしながら、度重なると罰則の対象になる。
人間は感情の動物である。マナーの悪いプレイヤーに対しては、そのプレイヤーをテーブルから早く追い出したいと思うのは当たり前であり、他のプレイヤーが暗黙の了解でそのプレイヤーを追い出そうとするプレイを続ける場合もありうる。旅行者の我々はただでさえ、エイリアンでしかない。そこで敵を多く作る必要はない。
ポーカープロの中にはわざとマナー違反ぎりぎりの行為(口撃)をおこない、他のプレイヤーの冷静な判断を狂わせることをしているものもいる。しかしながら、アマチュアの我々にとって、これを行うことは「百害あって一利なし」である。
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日本にもポーカーブームが訪れるかもしれません。
ここで、この間の日本のポーカー事情を振り返ってみましょう。
まず、全日本ポーカー選手権(AJPC)が開催されました。私もこの大会には企画当初からかかわり、実行委員兼シリーズトーナメントディレクターとして運営に参加しました。予選などなんらかの形で参加されたポーカープレイヤーは延べ1800人を超える過去最大のトーナメントになりました。AJPCはWSOP の公式サテライトにも認定され、日本でも国際標準のポーカートーナメントが開催できることを世界に示し、「Card Player」をはじめ、世界のポーカー専門誌を通じて配信されました。
また、エベレストポーカージャパンカップ (EPJC)やアジアパシフィックポーカーツァー(APPT)の日本サテライト、ポーカーナビテニアンカップシリーズなど新しいライブトーナメントが数多く開催されました。首都圏では毎日複数箇所でポーカートーナメントが開催されるようになりました。西日本でも大阪・岡山に加えて神戸でも定期的にポーカートーナメントが開催されるようです。
ポーカー関連の記事も新聞・雑誌などで多数報道されました。ポーカー関係者の念願であるポーカートーナメントのTV放映も近いのではと思います。
また、初心者用のポーカー講座も多数開催され、中級者向けの講座も企画されているようです。また、ギャンブリング・ゲーミング学会という学術団体でも世界のポーカー事情が紹介されています。
加えて、「THE Poker」という日本語による入門書も発刊され、翻訳本の「ポーカー教本」も10年ぶりにリニュアルされました。私も「THE Poker」の著者の一人として参加しました。私の述べたいことの多くが書かかれてありますので、遅々としてすすまないこの講座にいきどおりを感じていらっしゃる読者の皆様には、一読していただければと思います。
以上に述べたように、日本にもポーカーブームの到来が予想される状況になってきました。この芽をつまないように、ポーカー関係者の一人として努力していかねばと考えています。まずは、この講座を完結させることができるようがんばりたいと思います。
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ポーカーの目的は、一回のゲームに勝つことではない。ゲームに勝つことによって持ちチップ量を増やすことである。つまり、ゲームに何回も勝っても獲得チップ量が少なかった場合には、たった一回のゲームの負けでそれまで獲得したチップを失ってしまうことになる。それでは、目的を達成することはできない。
その意味で、ベッティングは最も重要なスキル(技術)である。
チップで会話する
囲碁の世界では、打った石で会話するといわれている。その意味するところは、棋士が打った石は全てその棋士の意思の表現であり、相手側はその意思を汲み取って次の手を打つことにより、言葉を使わない会話が成立しているということである。
ポーカーでは、それをベットされたチップでおこなう。
ホールデムポーカーでは、各プレイヤーに最初に配られた2枚のカード(ホールカード)は、わからない。従って、プレイヤーの意思はそのプレイヤーのベットでおこなうことになる。
大きくわけて、ベットには大きく分けて3種類のパターンがある。
●ホールカード強いハンドの場合。
現状で勝っているか、勝つ可能性の高いハンドを持っているので、獲得チップ量を増やそうとしてベットする場合である。
●相手にコールやベットをされたくない場合
現状では、中途半端のハンドを持っているが、フォールドするのも惜しい。または、ブラインドベットをスチールしたい場合である。後述するように、フラッシュやストレートドローのハンドの場合、リスクを軽減するためのベットも含まれる。
●相手の情報を引き出すための場合
対戦相手の意思を確認する場合に、ベットしてそれに対する反応をみるためにベットする場合である。
以下にゲームの各段階で、ベットの意味を考えてみよう。(全てノーリミットホールデムを前提とする。)
プリフロップ
プリフロップでは、ブラインドベットがされているので、コールするかレイズするか、レイズした場合、レイズ額がいくらかでプレイヤーの意思が表現される。
コールする場合は、プレイヤーの意思は、多くの場合フロップ以降の展開をみてみたいからである。同じスーツが2枚あるとか、絵札が2枚あって、フロップでマッチすれば勝つ可能性が高いなどが典型的な場合である。
これに対し、レイズは積極的な意思が感じられる。一般的にはプレイヤーのハンドが良く勝つ可能性が高い場合であろう。但し、ポジションが良く、スチールをしたい場合なども考えられる。
問題はレイズ額である。通常はポットレイズ(BBの3.5倍程度)近辺のレイズ額が一般的である。これ以外のベット額(ミニマムレイズやBBの5倍以上のレイズ)には、プレイヤーの特別な意思が反映している場合が多い。ミニマムレイズでは、BBにコールされる可能性は高い。従って、プレイヤーのハンドが強く、コールしてもらいそのゲームのポット額を上げたいという意思が感じられる。他方、5倍以上のレイズの場合、何がなんでもそのゲームはとりたいとの意思が感じられる。Jのペアーなど、プリフロップでは強いが、フロップが開くと急に寒くなるハンドや、持ちチップ量が少なく、トーナメントを生き延びるためにブラインドスチールで充分と考え、オールインする場合などである。
レイズがあった場合のコールやリレイズは、プレイヤーのどのような意思の反映であろうか。コールは、レイズした者に対抗できる強いハンドをもっている。または、フロップが開いた後に勝つ可能性があるなどが考えられる。また、多数のプレイヤーがレイズにコールしている場合、ポットの金額が高いので、後に述べるオッズがあったのでコールする場合もあるだろう。また、一度コールしたので、その後にレイズがあってもついていくとの意思もありうる。
これに対し、リレイズはレイズしたプレイヤーに対する積極的な挑戦である。レイズ・リレイズがはいると、他のプレイヤーはよほどのハンドを持つか、持ちチップ量によほどの余裕がない限りコールすることは難しい。従って、最初にレイズしたプレイヤーとヘッズアップの勝負を挑んでいるとの意思がある。AAやKKなどの強力なハンドの場合、参加人数が増えると勝てる可能性が下がってくる。レイズが入っているので、そのゲームのポットも満足できるものである場合が多い。従って、ヘッズアップに持ち込み確実に勝つためにリレイズするのである。また、レイズした相手のハンドをA+ハイカードと考えて、ローペアーでヘッズアップ勝負にいく場合もあるだろう。
フロップ後
フロップが開いた後のアクションは、情報がある程度開示されるので、ベットにプレイヤーの意思がより反映される。アクションとしては、チェック・ベット・レイズ・レイズに対するコール・リレイズがある。
ここで考えなければならないのは、一回のベットだけではなく、プリフロップでどのようなアクションをしているかである。プリフロップでレイズしているので、フロップ後もベット・レイズしている、プリフロップでコールしているのにベット・レイズし始めたなどである。すなわち、前のアクションを加えたプレイヤーの一連の意思を考えなければならない。
チェックは消極的な意思表示である。フロップが期待したカードがでないので、フォールドするつもりだが、前のプレイヤーからベットがなされていないのでチェックするというのが典型的である。フラッシュやストレートドローになっているので、完成するまでは、支払額を少なくしたいという場合もあるだろう。
チェックだけでは、そのプレイヤーの意思はわからないので、ベットしてそのプレイヤーの意思を確認する必要がでてくる。
ベットは、積極的な意思表示で、プリフロップ時の最初のレイズと同じ意味がある。加えて、前のプレイヤーがチェックしていたときの確認の意味をこめたベットもある。特にフロップがフラッシュやストレートの可能性がある場合は、フロップ段階で勝っていてもターンやリバーでまくられる可能性があるので、その確認は重要になる。
この場合も、ベット額は最も重要である。その時点でのポット額の半分以下のベット額かどうかがまず判断の基準になるであろう。ポットの半分以下である場合は、勝つ可能性が高くポットを引き上げたいという意思が感じられる。また、相手の意思を確認する場合もあるだろう。ポットの半分以上ベットした場合は、そのポットをとりたいという意思の表明と考えてよいだろう。
レイズ・リレイズは、プリフロップ時のリレイズと同様な場合が多い。但し、前のプレイヤーのベット額が少ないときに、フラッシュドローなどの時にあえてレイズして、ターン・リバーのカードを見に行くという場合もある。
気をつけなければならないのは、チェックレイズである。チェックレイズとは、一度チェックした後に、他のプレイヤーのベットにレイズする戦略である。フロップでスリーカードができたなど、勝つ可能性が高い場合により多くのチップを獲得しようとしてもちいられる。
ベットやレイズにコールする場合は、その段階では勝っているか、ターン・リバーで勝つ可能性がある場合である。
以上は、一般的なプレイヤーの意思の現れであり、それを逆手にとろうとするプレイヤーもいることを、常に頭の隅においておかねばならない。
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前回は、ベット・レイズには意味があり、相手のベット・レイズでその意思を汲み取って自分のアクションを決めることが必要であると述べた。
繰り返すが、ポーカーの目的は、一回のゲームに勝つことではない。ゲームに勝つことによって持ちチップ量を増やすことである。そして、トーナメントで入賞し、入賞後は着実に順位をあげることである。
今回は、私自身がどのようにペッティングしているかについて述べよう。
レイズが基本
私の基本的な考えは、レイズできないようなハンドでは参加しないということである。
私のプレイスタイルはタイト・アグレッシブを基本するので、参加回数を減らしコストを少なくして、参加したときの勝率と獲得できるチップ量をあげることが必要だからである。
従って、コールする場合は、何らかの特別な意思がある。
では、どのようなときにコールするのか。
モンスターハンド
AA・KKのモンスターハンドが来ることはほとんどない。従って、このようなハンドが来た場合に、ブラインドスチールだけではもったいない。そこで、プリフロップの段階でコールし、他のプレイヤーのレイズを待って、ポットの金額をあげようとする場合である。
但し、アーリーポジションでスロープレイすると、後ろポジションのプレイヤーにずるずるとコールされる可能性が高く、フロップでストレートやフラッシュドローになったり、ツーペアーを引かれたりして事故が起きる可能性が高くなる。従って、スロープレイをするのは、レイトポジションでそのゲームの最大参加人数が4人以内になることがあきらかな場合か、テーブルチップリーダーなど持ちチップに余裕がある場合、またはショートスタックでアベレージチップ量に復帰するには、少々の危険はやむを得ないとしてポットを膨らませることが最優先の場合である。また、自分より前のポジションのプレイヤーがBBの3-4倍程度のレイズをした場合なども、リレイズをせずにコールして、フロップが開いた後のリレイズをねらうためにコールする場合もある。これは、ポジションの優位を生かしたプレイともいえる。
●フラッシュドロー
フラッシュドローとは、プリフロップで配られたカードが2枚とも同じスーツの場合である。私の場合、フラッシュドローハンドでは、原則的にゲームに参加しない。AXsかKXs程度が参加できる条件である。フラッシュが完成する確率は低いので、押さえとしてAかKならば、そのペアーだけで勝てることも考えているからである。しかしながら、AXsやKXsの場合でも、最初に考えるのはレイズである。コールするのは、前のポジションの複数のプレイヤーがコールで入ってきている場合(この場合、フラッシュが完成すると獲得可能なチップが多い)や、自分の持ちチップ量に余裕があってコール分のチップを捨ててもよい場合である。
これにたいし、私はストレートドロー系でゲームに参加することはほとんどない。
トーナメントの状況よるベット額の調整
私の基本的なベット額は、BBの4倍くらいであるが、トーナメントの状況によって変えている。
●トーナメントの内容による変更
トーナメントによっては、WSOPメインイベントのようにスタートチップ量が多く、ブラインドも少ないトーナメントがある。このようなトーナメントでは、序盤では通常のベット・レイズ額では他のプレイヤーにプレッシャーを与えることはできない。従って、ポットを取りに行くようなハンドでは、BBの10 倍程度が最低ベット・レイズ額になる。他方、日本で開催されているトーナメントのようにスタートチップ量が少なく、1ラウンドの時間も短い場合では、BB の3倍でもコールするのにプレッシャーを感じる場合がある。その場合は、3倍程度でも充分である。
●トーナメントの状況による変更
トーナメントを勝ち抜くためには、その時点での自分の順位を把握し、入賞するにはどの程度必要かを考えてプレイしなければならない。従って、状況によってはオーバーベットであってもオールインすべき場合もある。BBの10倍程度しかない場合は、いつもオールインすべきかどうかを考えておく必要がある。
他方、アベレージチップの2倍以上持ってそのテーブルのチップリーダーの場合には、相手の恐怖心をあおる意味で、BBの5-7倍程度のベット額を基本にする場合もある。特にトーナメントの後半で入賞直前のときには効果的である。逆に全てコールではいる場合もある。チップリーダーにコールされるのは、相手方にはいつもトーナメントの終了という危険がついてまわるため、アクションが制限される。それを利用して心理的なプレッシャーを与えるためである。
●ブラインドスチール目的のレイズ
ブラインドスチールはできる限りおこなわねばならない。なぜなら、ブラインドスチールが成功すると、次の一周は実質的にコストがからずにハンドがみれることになり、ゲームに参加しポットを獲得できるハンドがくる可能性が高くなるからである。従って、ブラインドスチールを狙う場合には、SB・BBがコールしにくいベットをする必要がある。最低、ポットベットが必要である。
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AJPCの開催も一因だとは思うが、今年になってポーカーを楽しんでくれる人々が増えてきた。ブログなどでポーカーについての実績や意見を書いているプレイヤーも多い。あるオンラインサイトでは日本人のブロガー対象のトーナメントも開催されている。
数々のブログを読んでいるとミスプレイを反省しているものも多い。ほとんどはそのミスプレイが原因で死亡したり、致命傷を負ったりした場合を書いている。
私が疑問に思うのは、そのプレイで運良く勝った場合はどうなるのだろうか。ブログなどは他人に読ませることを前提としているので、死亡とか致命傷を負うような劇的な場面しか登場しないだろう。問題は、その場合でもプレイヤーはミスプレイとして認識し、反省しているのであろうか。結果が悪かったから、ミスプレイとして反省しているに過ぎないのではないかということである。
ミスプレイかどうかは、その結果が良かったか悪かったかにかかわらないはずだが、往々にして人間は結果から判断してしまう。極端に言うと、ミスプレイなのに結果がよければナイスプレイと思ってしまうのである。
ポーカーは運の要素があるから面白い。しかしながら、長期にわたってプレイすれば運の要素は排除される。ポーカープレイヤーを描いた映画「ラッキーユー」のDVDが発売されたが、そのおまけ画像で、出演した有名プロが2000時間を越えてプレイした場合は、実力で勝負が決まるといっていた。ポーカーを長期的にプレイするためには、結果から判断してはいけない。結果が良くてもミスプレイはミスプレイなのだ。
では、ミスプレイは客観的に決められるのか。
私は、ミスプレイの判断は主観的だと思う。ポーカーに正解はなく、各プレイヤーのスタイルや考え方によってプレイされるものだからだ。ミスプレイというのは、そのプレイヤーのプレイの基準に反して間違っているにもかかわらず、あえてしてしまったプレイだと思う。その基準はプレイヤーごとに異なり、その基準を確立することこそ、上級者への道だと思う。従って、プレイヤーは個々のプレイをするにあたって、ハンドの内容、他のプレイヤーの心理、チップの状況などを確認し考えてプレイすればよいのであって、「この状況ではやむを得ない。」と考えて、通常の基準を逸脱したプレイをして負けても、それはミスプレイではないはずだ。すなわち、考えないでプレイしたことがミスプレイなのだ。
一つのトーナメントを終わって、プレイを振り返り反省することは上級者になるために必須であろう。私もポーカーを本気で始めた頃は、トーナメント履歴を毎日のように検討したものだ。囲碁・将棋の感想戦のようなものだ。履歴を読むと、ここではこうすべきであった、こうしなければいけなかった。これは単にラッキーだけでなにも考えずにプレイしてしまったなどと反省点がいくらでもでてきた。そして、それを繰り返すうちに自分の基準が確立されていったと思う。オンラインでプレイされている読者の皆さんも履歴を検討されることをお勧めする。(初心に戻らねばという自戒をこめて)
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リゾカジ大賞2009
【マカオ】2010年も快勝スタート!
Written by くるくる
レポートを読む
この度は、リゾカジレポート大賞2009に選定頂きありがとうございました。実は狙っていました(`∇´ゞ(笑)
とは言うものの、正直なところ、総合点ではどうかな、と思っていたところでした。
お笑い部門ではかなりいい線まで行っているはず(笑)と自負しておりましたが、格調高い文章のマカオの帝王さんや、グルメ情報満載のしゃんぱんさんなどを始めとする他の方々の魅力的なレポートが数多く投稿されている中での受賞は大変光栄で嬉しく思います。
受賞レポートは年末年始のマカオレポートで滞在期間が長かったため、カジノでの描写あり、メンバーとの交流あり、笑いあり、グルメあり、そして写真も数多くUPして、読んで楽しめる内容盛りだくさんの点を評価いただいたのかな、と思います。
最近、ある方から「くるくるさんのレポートは、ほのぼのしています。読んでいて思わずニコニコしてしまい、楽しい気分にさせられます。」と、言われました。まさにそのように楽しく読めて役に立つレポートを目指しており、一番の褒め言葉と感じました。今後もそのようなレポートを目指していきます!(^ ^)/
最後に、リゾカジ.comのサイトやSNSなど、大変役に立つ情報を無料で公開いただき、又、コミュニケーションツールを利用させて頂き感謝しております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
リゾカジ大賞2009 特別賞
TAHARN さん
レポートはこちら
帰国早々のリゾカジレポート 特別賞受賞の報に、妻ともども驚いています。他の方々の興味深いレポートを差し置いて、賞を頂けた理由は、ひとえに世界中のカジノをほっつき歩いてきた、という点に尽きるのでしょう。リゾカジの皆様に世界各国のカジノ(特に途上国)の雰囲気が少しでも伝われば、とレポートしてまいりました。
今どきパソコンを持たないアナログな旅、レポートは各国のネットカフェで打ちました。PC及び通信事情が悪い国も多く、せっかく書いた原稿が消えてしまったり、送信不能だったり。まだ半分以上の国が残っています。順次レポートしてまいります。
カジノ歴は30年になります。今回の旅に出るまで、訪れたカジノは15か国30箇所ほど。かねてからリゾカジを愛読しておりましたが、レポートはマカオ、韓国といったアジアの有名どころが多く、途上国のカジノはほとんどありません。それなら自分で見てやろう、と思ったのが世界カジノ旅のきっかけです。
妻はカジノ歴10年、私が教えました。BJ主戦、サードベースが好きな私。自分の上手(かみて)に妻を置けば、基本戦略知らずのデタラメプレーヤーの防波堤にできる、と考えたのです。これが奏効、上手を気にせず打てるようになり、戦績はかなり向上しました。妻に感謝です。
今回の旅は2009年5月から2010年6月までです。
韓国を皮切りに、北米、南米、欧州、中東、中央アジア、アフリカ、南アジアとまわって先日帰国しました。訪問国は59カ国、そのうちカジノがあった国は41カ国。40カ国68都市138カ所のカジノで戦いました。戦績は私ややマイナス、妻ややプラス。カジノで旅費を使い果たさずに帰国できたことを素直に喜びたいと思います。まだ帰国の実感がわかず、大敗を喫したカジノにすぐにでもリベンジに出かけたい気持ちです(賞金を旅費の足しにして...)。
数あるカジノ・ゲームの中でも、BJは最もスピーディなゲームのひとつです。言い換えれば、時間当たりの消化ゲームが非常に多いということです。プレイヤー数やプレイ・スピードにもよりますが、1時間当たりの消化ゲーム数は50〜70ゲーム程度が平均値ではないかと思います。
これほどスピーディなゲームですから、その1ゲームごとに一喜一憂していると短時間に激しい感情の起伏が繰り返されることになります。ところが、それがどんなに激しい起伏でも、やがてそれに慣れてしまいます。僕はこの状態を「思考の麻痺」と呼んでいますが、プレイヤーがこれに陥るとごく単純な思考すら麻痺してしまい、冷静さを失うことにつながるようです。
これは同席のプレイヤーを客観的に観察するとよく分かります。たとえば、ずっとタイトなベッティングだったプレイヤーが、ある瞬間から感情むき出しでルーズなベッティングに変貌していく状況がその典型的な例です。こうして冷静さを失ったプレイヤーは、残念ながらほとんどの場合、バイインしたバンクロールを全て失う結果になるようです。
このような状況に陥るのは、1ゲームごとに感情移入し過ぎていることが主な原因だと思います。毎回勝とうとして、何度も繰り返し感情を注ぎ込んでいては、自ら感情の起伏を激しくしているのですから、思考の麻痺が起こるのも当然です。このようなプレイ・スタイルでは、あっけなく冷静さを失ってしまうのも無理はないと思います。
カジノで冷静さを失うことほど危険なことはありません。思考の麻痺を未然に防ぎ、冷静さを保つためのメンタル・コントロールを是非とも身につけておきたいものです。自分自身を客観的に判断するのは難しいですが、他人を客観的に判断するのは難しくありません。つまり、他人の姿を自分に置き換えて考えれば、そこにメンタル・コントロールのためのヒントが見つかることがあります。
僕はこれまで自分自身の経験と他人の姿から学び、メンタル・コントロールの手法としてGAKUストラテジーに取り入れてきました。とくに他人の姿は客観的に判断出来るので、様々なことを学ぶことができます。参考になるプレイヤーのプレイやスタイルは取り入れ、たとえ参考にならない場合でも反面教師とすれば学び取れることは沢山あるのです。
BS遵守の重要性はすでに述べた通りです。この考えは、ハウスエッジを理論上の最小値にすることが目的のひとつではありますが、BSを貫くことでプレイヤー・アクションへの主観を完全に排除することを本当の目的としています。これは僕が実践しているブラックジャックにおけるメンタル・コントロールの礎となっています。BJがスピーディなゲームだからこそ、メンタル・コントロールを乱す因子となりうるものは、ゲームを始める前からできる限り排除しておく必要があると考えるからです。
また、1ゲームごとに一喜一憂することは、ブラックジャックをとても狭い視野で捉えていることに他なりません。もっと広い視野でプレイすることができれば、1ゲームごとに一喜一憂する必要はなくなり、冷静に淡々とプレイを進めることができるようになります。
そのための第一歩は、BJの成績を1ゲームごとの勝敗ではなくセッションの勝敗で考えるようにすることです。この場合のセッションとは、テーブルでのプレイ開始から終了までの区切りのことです。セッションは任意の長さになりますから、短ければシューの途中で終了することもありますし、長ければ数シューに及ぶこともあります。そして、これらのセッションの積み重ねがトータル成績となっていく訳です。
BJにおいて大切なことは、1ゲームごとに一喜一憂することなく、いつも長期的視点で考えることです。長いペナントレースを戦うプロ野球の監督のごとく、客観的に選手である自分自身の采配をとる必要があります。良いときがあれば悪いときもあります。どんなときでも長期的視点でとらえ、メンタル・コントロールできるようにしたいものです。
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